カナリア 2013-06-03 21:38:20 |
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~一哉side~
みき「あっ、待って!今行く-!じゃ、一哉も頑張ってね!」
一哉「おっ、おう。」
みきはそう言い残すと呼ばれた男子の元に走っていってしまった。
少し複雑な気持ちを抱きながらも、練習に戻ろうとしたその時、
体育館の男子達の声が聞こえてきた。
男子1「なぁ、飯沼って結構かわいくね?」
男子2「あっ!俺も前から思ってた!しかも、教えてくれるとき微妙に距離とか近いよな。」
男子1「うんうん。俺、わざと転んでこようかなぁ。助けてくれそうじゃね?」
男子2「良いじゃん!それ。俺足かけて転ばせてやるよ。」
なっ、何!?みきが狙われてる!
しかも、今気づいたが、みきが教えてる相手男ばっかじゃね?
あいつら・・・下心見え見えなんだよ。
みきは少し抜けてるからな・・・絶対その下心に気づかないだろう。
あー!早く練習戻らなきゃいけねぇのに!
でも、みきが他の男とイチャイチャするのも嫌だ!(←イチャイチャはしてない。
優柔不断な俺が体育館前で迷っていると、
ダンッ!
誰かが転んだような音が響いた。
その後にみきの声が聞こえてくる。
みき「えっ!大丈夫!?頭とか打ってない?」
男子1「うっ、うん。あっ、足首ひねったかも・・・。」
みき「嘘っ!!保健室行く?私の肩によりかかって良いよ。」
男子1「ありがとう・・・飯沼。」
なにが「ありがとう・・・飯沼。」だ!!
絶対わざと転んだだろ!
てか、みきも単純すぎんだよ!時雨のことが好きなはずなのに
何で他の男に肩かしてんだよ!くっつきすぎだ!
もう、がまんできねぇ!俺が・・・
時雨「飯沼さん。俺が代わりに運ぶよ。男担ぐの大変でしょ?
それに、リーダーぬけるとこっちもいろいろと大変だしね。」
みき「え?良いの?ありがとう!!」
男子1「は?何で?」
時雨「何か・・・問題ある?」
男子1「いやっ・・・なんにもありません!」
時雨・・・
そっか、時雨がいるから大丈夫か・・・。
昔からそうだった。
どんなことも俺より先に気づいて、俺より完璧にやりとげる。
俺は昔から時雨の1歩後ろを歩いてきた。
今だって、ほら。
みき、めっちゃ嬉しそうじゃん。
あの笑顔が向けられるのは・・・今も、これからも、時雨だけ。
分かっていた。だからこそあの日告ったんだ。
少しでも、時雨に追いつきたくて、追い抜かしたくて。
でもそれは、何年後になるのだろうか。その日は・・・
来るのだろうか・・・。
みき「かーずやっ!こんなとこにまだいたの?早く戻んないと、みんな困ってるよ!リーダーさん」
ハッ
一哉「あ、ああ。今戻るとこだよ。」
みき「そう?まぁ、いろいろ大変だと思うけど、お互い優勝目指して頑張ろうねっ!」
みきは笑顔で、そう言った。
笑顔で、応援してくれた。
ああ、俺って何て単純なんだろう。
これだけのことがすごく嬉しく感じる。
やっぱり・・・
一哉「好きだなぁ・・・」
去っていくみきの背中に、1人で呟くのだった。
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