camel 2013-04-17 20:09:56 |
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僕は子供を背負って田舎道を歩いていた
周りには田んぼ、山しかない
気がついたら、子供の目は潰れていた
いつ?わからない
だけど確かに潰れていた
子供がいう
「目が見えないのは、どうも不自由だね」
それは幼い子供の声だった
だけれどもそこには子供らしさがなかった
僕は怖くなった
自分の子が怖くなった
僕は子供を山に捨てることにした
「父さん、重かないかい?」
子供が問うた。
「重かぁないさ。」
「じきに重くなるさ。」
子供が言う。
僕はなにかを思い出しそうになった
だけど思った、思い出してはいけない
すべてがわかってしまう前に捨ててしまおう
山路は薄暗かった
「あぁ、ここには地蔵があったんだ」
盲目の子供が言う
僕の記憶の中の「それ」はもうすぐそこまで来ていた
どれだけ歩いただろう
目の前には大きな杉の木が立ちはだかっていた。
子供が言う
「あぁ、ちょうどここだったね。
私がお前に殺されたのは。」
軽かった子供が、ずしん、と重くなった。
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