ムツキ 2012-08-23 13:09:41 |
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それを聞いたフラットは溜め息を漏らし虚空を仰ぎ───
ク ロ フ ク
「それが公安部まで出ばって来た理由かよ……囚人にゃ人権すら無ぇってか?」
「勘違いしないで欲しい、これは取引だよ。これで君の刑期は大幅カットになる……生きている間に出所することも可能になるだろう。君の戦闘能力を買っての大盤振る舞いだ、悪い話ではないと思うのだがね?」
対象的に神父は身動ぎ一つ取らずに、さらりと言ってのけた。
「国家の脅威に形振り構ってられませんってか……仕事熱心だな。」
どこか呆れにも似た視線でちらりと見る。
だが、やはり神父は眉一つ動かさずに佇んでいた。
「なんとでも。聖王猊下の憂いが払えるのなら、君の数百年分の刑期など安いものさ───引き受けて貰えるね?」
囚人は天井を見上げたまま、しばらくの沈黙の後にぽつりと漏らす。
「条件が一つ。俺の刑期を全カットに」
「善処しよう。取り引き成立だね。……さて、もう面会時間も終わりだ、我々はこれで失礼するよ。」
胸からぶら下げた懐中時計て時間を確認、、写真を仕舞って立ち上がる。
一切無駄の省いた様なその動きは、何処か優雅さとある種の気味悪さが混在していた。
そのままの動作で面会者用のドアの前まで進むと、白服の二人を先に退出するように促し───
「神と聖王猊下の御名において───君の幸運を祈る」
背中越しにそう告げると、ドアの外に消えていった。
その背中を見送りながら、フラットは今日何度目か分からない溜め息をついた。
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