ムツキ 2012-08-23 13:09:41 |
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「此処の暮らしはどうだね?」
神父と呼ばれた黒の僧侶は、机の上に組んだ手を乗せ僅かに身をのりだし、穏やかな口調で問う。
自分に対して親身である事へのアピール───
だが、それがこの聖職者のやりかたで在ることも理解していた。
「悪くないね。アンタも一緒にどうだい?」
囚人───フレデリック・ノーマンは、含んだ笑みを見せながら答える。
四十半ばの神父は、短く切り揃えた灰色の髪を撫で───
一呼吸置くと、先程とは違う硬質な声音で語り始める───
「先日、国境付近でこれが撮影された。」
懐から一枚の写真を差し出す───
ドロ イ ド
そこには数体の機動兵器───
上空から捉えたそれは、隊列を組み進軍している様にも見える。
フレデリック───フラットは写真を興味が無さそうに一瞥し、
「可愛いじゃん?アンタの彼女?」
と、溜め息混じりに突っぱねる。
黒服は男の軽口を無視し続けた。
「所属・目的は不明。過去のデータベースから照会は無し。全くもって正体不明だ。……君にはこの件を調査してもらいたい。」
「なるほど……このコ達をナンパしてくりゃ良いって訳ね?」
「大人しく付いてきてくれるかはかなり怪しいがね。」
神父がフラットの軽口あっさり切り返すと、後ろに控えていた白服が付け加える。
「それと……うちの衛士たちがしつこく食い下がっていないか見てきてほしい……もう……」
・・・・・・・・・
「一週間も経つんでね……。」
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