裕 2012-07-31 08:17:12 |
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茜が紅茶を入れ始めたので、手伝うことはないかと聞くと、食器棚にあるコップを出してくれと言われた。
真後ろの食器棚の隣に、金魚鉢が置いてあるのに気づいた。赤い金魚が二匹入っている。
〈こんにちは〉
さくらは心の中で声をかけると返事が返ってきた。
〈こんにちは〉
「さくらって、生き物と話せるんでしょ?」
「…なんで…そのことを……」
いきなり茜にそのことを言われ、さくらは驚きを隠せなかった。
この話は、親にさえも言ってないのに…
「中学の時に知った。」
茜はそういうと、軽く笑って見せた。
…生き物と話すことができる…この力は生まれつきだった。
でも、心で話すのに、なぜ茜は…
「茜は分かったの?でしょ。」
「なんでわかるの?」
さくらは食器棚から出したコップを置きながら言った。
「私はね…人の心が読めるの。」
「人の心が読める…?」
茜はコップに紅茶を注ぎながら、静かにうなずいた。
「私も生まれつきだったの…翼もそう…」
「翼も…?」
茜はまた静かにうなずいた。でも、この時茜の眼は、どこか悲しい雰囲気が漂っていた。
「翼は、霊が見えるの。」
そして茜は深いため息をついた。
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