Someone's story (not Recruit)

はっはー、引っ掛かったな
(手品をしくじったと思い鼻で笑った女性に得意気な視線を送り「何なら俺でもアリ。大人のキスを教えてやるよ」勝利と酔いで気分が上がり手に負えない状況、爆笑しながら己の唇をトントン指で示し)

なんで男相手にやるんだよ
(上機嫌な相手と不機嫌か自分との間に流れる空気の温度差は激しく「それで、どの女性にキスすればいいんだ？」緊張をほぐそうともう一杯酒を貰いそれを一気に喉に流し込み）

冗談に決まってんだろ
(酔っ払った己から見ても容姿は整った部類に入る彼が何をそんなに心配するのか謎、ちょいちょいと手を動かし顔を近付かせ一人の女性を指差し「彼女さっきからお前を見てる」酒を運ぶ合間に此方に視線を送る女性の方へ注目させ)

たちの悪い冗談はよせ…
(冗談だとわかるとホット胸をなでおろし、指をさした方に顔を向け「彼女が？…あんたのことを見てるんじゃないのか？」確かに横からの視線を感じてはいたがまさか自分の方を見てるとは思わず体勢を元に戻し)

そりゃ勿論、俺はとびきりの色男だが彼女は違うらしい
(グラスに入った酒を一気に飲み干し空になったそれを片手に掲げ、もう片方の手をちょいちょいと動かし注文ついでに例の女性を呼び寄せ)

ハイハイ、そうかい
(酒と共にやってきた女性はなんだろうと首を傾げながら自分たちのテーブルの前に立ちやってやろうと深呼吸を1回「えっと、嫌だったらごめんな…」頬に手を添えゆっくりと近付いていくと、右頬に熱と痛みを感じ目を開ければ目の前に女性の姿はなく)

はっはー、残念だったな！
(肩で怒りを表し大股で店の奥へと進む女性の背中を目で追い、勇気を出した相手を失礼にも指差し机を叩き突っ伏す勢いで笑い崩れ)

…誰のせいだと思ってる
(クスクスと聞こえる笑い声と大声で笑う声に顔を赤らめ人生最初で最後の恥を公衆の面前で喰らい、睨みながら座り頭を抱えながら机に伏せ)

それを言うなら教えてやるよ
(伏せる肩をバシバシ叩いて大笑いは続き「失敗するリスクのある手品は賭けに使わない」初めから此方の勝利は決まっていた事まで暴露して)

分かっててやったのかよ…！
(勢いよく頭をあげるも、全て仕組まれた事だとわかると再び頭を突っ伏しそんなに引っかかった自分が恥ずかしくなり余計頭をあげにくく）

悪かった。もう少し冷静になる事だな
(不貞腐れる相手は可愛い弟分のようで下品な笑い方は止めて表情も声色も優しいものに。お詫びと言えるかは不明だが、先程の騒動に巻き込んだ女性にも目配せで謝り)

しばらく立ち直れそうにない
(柄にもなくいい大人がぐすりとベソをかき、伏せた状態で顔だけを相手のいる方へ向け大きなため息を一つ付き自分を落ち着かせるためにもういっぱい酒をもらい煽り）

悪かったって。今日はそれくらいにしとけ
(真面目な相手の意外な一面を見たような、一瞬にして空になったグラスの上に手で蓋をしてベストから皺のよった紙幣を取りだし何枚かをテーブルに置き)

俺はまだ平気…
(飲み直そうとしてる最中に飲むのを止められれば、睨むような目つきで見上げたあとまた顔を戻し酔いが全身に回り始めると同時に睡魔が襲い、そのまま寝入りに入り)

…俺にどうしろと
(遊び慣れない人物を酒の場に引っ張るべきでなかったと今更にして反省。状況を汲み取った女性に差し出されたサービスの酒を舐め少しだけ観察する事に)

(寝に入ってからしばらく、店の雑音で目が覚め今自分が何処にいるか理解ができなかったが頭が少し冴えてくると徐々に分かり「すまない…、」一言謝罪を入れて大きく背伸びをして、近くの店員に水をもらい)

宿は直ぐそこにとってある。俺はまだ飲んでいくが、お前に先に寝に行ってろ
(帰ろうかと思った所にストライクで好みの娘が現れたらそうはいかない。出口に向かって宿までの大雑把な道のりを手で示し、挙げた手をそのままに一杯注文して)

あぁ、そうするよ…
(大きなあくびを一つこぼし、眠気眼を擦りながら軽く手を振り店を立ち去り。愛馬を引き連れフラフラになりながらやっとの事で宿にたどり着き、部屋に入るとそのままベッドに倒れ込み)

適当に飲んだら戻るから
(先程まで相手がいた席に女性を招き世間話でもと想ったのだが、相当に酔った状態で問題を起こさないか心配する気持ちが勝り酒を煽って店を飛び出し)

(宿に戻ってから何時間寝ただろうか目覚めた頃には日が傾き明るかった空はオレンジ色に染まり、重たい頭を上げドタドタと階段を上がる足音に不満な表情を浮かべ「もう少し静かに来いよ…」またベッドに倒れ込み）