なりきりセイチャットTOP > １対１のなりきりチャット > ▶▶ 花が散る夜に ／ 募集
魔女 2017-01-12 10:21:14 |
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▶▶ 始まり（ 刀剣side ）
口の中は鉄の味で満ち、体から力が抜けていく。瞼は恐ろしい程に重く、もう目を開けていられそうになかった。痛みに意識が奪われる人の身の、何と不便なことだろう。舞い散る桜の花弁を遠くに見た気がしたがそれを確かめる術もなく、やがて視界は闇に包まれた。
そこからの記憶は曖昧で、気が付いてみればそこは見知らぬ街の中。少し離れた所から賑やかな声が聞こえる。一方、己がいる此処は昼間だというのに薄暗く、人通りの少ない路地であるらしかった。異国情緒溢れる町並みの中に見慣れた建築物はなく、すぐ横の道を歩く人々の顔立ちは総じて東洋人のそれと異なるものばかり。怪我を負った己に視線は向けるものの、そこには不信感や嫌悪感しか含まれておらず、助けようとする者はいなかった。気を失う前後で別の場所にいるのは明らかだったが、折れる寸前の状態に変化はない。状況が飲み込めないまま迫る死の気配に今度こそ覚悟を決めた、その時。
「 大丈夫？貴方、すごい怪我よ 」
聞こえたのは穏やかな女の声。その言葉を聞き取ることは叶わなかったが、彼女が己を心配しているのだという事は理解できた。異国の言葉だろうか。己の前に膝を付く彼女もまた、通りを行き交う人々と同様に東洋人の容姿ではなかった。流れ出る血に眉を顰め、怪我の状態を観察するその女は酷く落ち着いて見える。やがて女は何処からか木の枝の様な物を取り出し、それを此方に向けながら何かの言葉を呟いた。一度目は何も起こらず、その少し後に深刻な表情をした女の口から「 レパロ 」という単語が紡がれる。するとどうだろう、驚いたことに痛みが引いていく。小さな怪我は残っているものの、大きな傷はほぼ完全に塞がっていた。何をしたのかと問い掛けると女は少し戸惑った様子で首を傾げ、再び木の枝を振り動かす。
「 これで伝わるかしら。…驚いた。言葉、通じていなかったのね 」
そう言って、女は可笑しそうに笑みを浮かべて立ち上がる。出会ったばかりの見知らぬ女の手が此方に伸ばされた。戸惑いや疑念が無かったわけではない。それでも、その手を取らずにはいられなかった。
▶▶ お約束
・サイト規約、マナー厳守。荒らしやなりすまし、その他規約に違反する行為は禁止。確認次第通報させて頂きます。
・英国魔法学校小説と刀剣乱舞のクロスオーバー、トリップ設定です。また、創作☓版権となりますので、苦手な方はご注意下さい。
・上下の余白を必須とします。故に余白愛用者様向けのトピとなっております。
・互いに私生活を優先、置きレスを推奨します。（ 当方ロルの長さに関係なく2〜3日空ける可能性あり ）キャラリセは不定期ですが、事前に必ず予告を入れさせて頂きます。
・ロルの長さは豆〜1000字程度まで調整可能です。お相手様の好みに合わせるつもりですが、状況によって長さを変更することも出来ます。
・互いに相性重視でお願いします。合わないと感じた場合は遠慮なく申し出てください。また、お相手解消を言葉で伝えづらい時は一言、☓とだけでも書き込んで頂ければ幸いです。
・声掛け時はキャラ口調、本体会話問いません。
▶▶ 募集要項
提供：イギリス魔法界側に住む創作魔女。詳細は>3参照。
募集：実装済み刀剣男士。初期の頃から実装されている刀剣男士優遇。トリップ時の設定、境遇はお任せします。（ 何時ものように戦っていたが仲間と逸れて重傷に ／ 黒本丸から逃亡を試みるも途中で命を落としかけトリップ ／ 完全な記憶喪失 等々 ）
▶▶ 簡単なあらすじ
何らかの理由で重傷を負い、意識を失った貴Ｃ。気が付くとそこは英国魔法学校小説の世界。倒れていた場所はダイアゴン横丁からノクターン横丁へ入ってすぐの薄暗い路地です。そこに現れ魔法を掛ける当Ｃ。しかし、相手が刀剣である為に治癒魔法は効きません。その事実に疑問を持ちつつも何もしなければ命を落としてしまう貴Ｃを前に、頭に思い浮かんだ修復呪文を使います。身に着けている衣服や異国の言葉、本来物に対して発動するはずの魔法が効いたことから訳ありだと気付いた当Ｃは、帰る方法がわからないと言う貴Ｃに対し、暫くの間匿うことを提案するのでした。
▶▶ 簡易版主pf
マルヴィナ・フレイス（ 愛称：マリー ）
20〜25歳 ／ 女性 ／ イギリス人
ダイアゴン横丁の外れにある小さな喫茶店の経営者。珍しい茶葉や食材を探し求めて時折旅に出る、レイブンクロー出身のホグワーツ魔法魔術学校卒業生。穏やかな性格だが探究心が強く行動的。世話焼きでお人好し。買い出しの途中倒れている貴Ｃを見つけ、放っておけず声を掛けた。一目見て西洋人とわかる容姿を持つ。家族がいる様子はなく、喫茶店の客もそこには触れない様子。
（ その他容姿等の設定はお相手様の希望を取り入れた上で、詳しいpfを作成する予定です。 ）
喫茶店 → 祖母から受け継いだお店。ダイアゴン横丁の中心部より少しだけ静か。店内は落ち着いた雰囲気で、客の年齢層がやや高め。品揃えはティーカップに夜空が浮かび上がる紅茶や、食べると望み通りの夢が見れるマフィン等、不思議な物が多い。茶葉や薬草、焼き菓子はテイクアウト可能。喫茶店二階が居住スペース。
▶▶ 参加希望時のお願い
ここまで読んで頂きありがとうございました！参加希望の際は 提供可能な刀剣男士／トリップ時の設定／希望ロル数／当Ｃへの要望や萌萎等何かあれば をご記入の上、お声掛けください。勿論、質問等も受け付けておりますので、興味がおありの方は気軽にどうぞ…！
それでは、こんな主得トピに需要があるかわかりませんが、募集開始とさせて頂きます。良きご縁がありますように…！
（ 募集開始、レス解禁 ）
提供可能な刀剣男子（経験度順、右に行くほど似非）／山姥切国広、大倶利伽羅、鶴丸国永、燭台切光忠、和泉守兼定、三日月宗近
トリップ時の設定／これは正直悩んでおりまして…個人的には【黒本丸から逃亡を試みるも途中で命を落としかけトリップ】が良いなと思っているのですが、提供させていただく刀剣男子の性格によっては若干悲愴っぽくなってしまうかもしれないという懸念がふつふつと湧き出てきまして、はっきり決められず…。勿論過剰に悲愴にならぬよう気を付ける所存ではありますが、もし主様が抵抗あるようでしたら【何時ものように戦っていたが仲間と逸れて重傷に】としたいです。優柔不断で申し訳ありません……！
希望ロル数／此方の平均ロル数がおよそ300字程度なので同程度を希望致します。ですが場合によっては多少短くなったり長くなったりする（～600字程）こともあるので、あまりロル数にはこだわらずに楽しめたらなと…力量不足により長さが安定せずマチマチで大変申し訳ありません。
Ｃ様への要望や萌萎等／萎えなのですが、豆ロルが不得手なので避けていただきたく思います。Ｃ様への要望は、容姿については【華奢過ぎない】【低身長過ぎない】こと、年齢は主様にお任せ致します！
設定への質問／言葉が通じないようですが、コミュニケーションの方法はどうなるのでしょうか？展開が進むにつれて英語を教わったりなどして歩み寄っていくような感じなのでしょうか…？細かい内容の質問で申し訳ありませんが、回答を頂けましたら幸いです。
（ ／ 初めまして！素敵な設定に心を惹かれまして、未熟な身ではありますが僭越ながら参加を希望致します！ご検討のほど、宜しくお願いします。 ）
（ ／ 初めまして。参加希望ありがとうございます！希望や質問等細かく書いて下さった上に、お褒めの言葉まで頂き光栄です。是非お相手をお願い致します…！
まず匿名様からの提供についてですが、どの刀剣男士も魅力的で一振りに絞ることが難しく、可能であれば山姥切国広、燭台切光忠、三日月宗近の中から決めて頂いても宜しいでしょうか？此方こそ優柔不断で申し訳ないです…！
設定は私も是非「黒本丸から逃亡を試みるも途中で命を落としかけトリップ」でお願いしたいです！あまりにも過剰な悲愴がずっと続くのは苦手ですが、接していく中でお互いに心を開き、徐々に明るい表情を見ることができるようになれたらと思います。
ロル数了解致しました。私も状況によって変動するのでお気になさらず…！それから記入漏れなのですが、ロルの形式に苦手なものはありますか？進行形で統一したい、小説風の使用も可能等ありましたら教えて頂けると有り難いです。
では豆ロルの使用は避けさせて頂きますね。Ｃについての萎えも把握致しましたので、それに注意してpfを練りたいと思います。明日中には提示できると思いますのでもう暫しお待ち下さいませ！
質問事項についてですが、言語は当Ｃが言語を理解できる魔法を継続的にかけ続けるか、翻訳アイテムのような魔法道具をプレゼントする…という流れを考えておりました。ですが匿名様が提案して下さったように英語を教えるというのも素敵ですね…！匿名様が提供して下さるＣの性格に合わせて選ぶというのも良いかもしれません。 ）
（ ／ >>7 魔女様
返答が遅くなり申し訳ありません…そして、色好いお返事をありがとうございます！此方こそ、是非宜しくお願い致します。
その三振りの中からでしたら、比較的動かし慣れている山姥切国広を提供させて頂きたく思います。
設定について、ご了承くださりありがとうございます！過剰にならぬよう細心の注意を払いつつ、物語の良いスパイスに出来るように頑張っていく所存です。
ロルの形式についてですが、此方は主に進行形＋時折小説風味といった感じですがお相手様に対しては特にこだわりや萎えもありませんので、どのような形式で回して頂いても大丈夫です！此方からも一つお尋ねしたいのですが、心情ロルは苦手でしょうか？それほど沢山ということはないと思うのですが、少しだけ心情を織り交ぜることもあり…もし主様が苦手であれば使いませんので、その他萎え等ありましたら遠慮なくお申し付けください。
娘様のpfも楽しみにしております！
丁寧な回答をありがとうございます！では折角主様に素敵だと言って頂けたので、出逢った当初は言葉が理解出来ないと意思疎通が難しいかと思いますので、主様の仰るように魔法やアイテム等でコミュニケーションを補いつつ、慣れてきた頃合いにお互い英語と日本語を教え合うというのは如何でしょうか…？
実は当方一ヶ月ほどなりきりにブランクがあるため、何か不都合や不明点があれば遠慮なくご指摘願います。 ）
（ ／ ゆっくりと長く続けていければと思っておりますのでお気になさらず…！
提供、設定どちらも把握致しました。当Ｃも家族がいないという設定になっておりますが、必要以上の鬱々とした描写は避けるつもりです。気になった際は遠慮なくお声掛け下さい。
当方も匿名様と同じような形式で回すことが多いため、そう言って頂けて安心しました。心情ロルについても苦手意識はなく、寧ろ此方のロルにも入ることがあると思いますので遠慮なくご使用ください！ロルに関しては過度な確定描写のみ避けて頂けると幸いです。
お待たせ致しました。>10にてpfを投下する予定なので、ご確認宜しくお願いします…！疑問点や変更点、その他気になる箇所がありましたらご指摘くださいませ。
そうですね、是非そうしましょう！お互いに教え合う描写を回すのが今から楽しみです。まだ知り合ってすぐの頃の言語についてですが、匿名様からの提供が山姥切国広ということですので、そこそこ使用感のある布に翻訳魔法をかけてプレゼント…というのは如何でしょうか？
了解しました。当方もこのように募集してのやりとりは久しく行っていなかったため、何か不明点や提案等があればその都度相談して頂けると助かります…！ ）
マルヴィナ・フレイス（ 愛称：マリー ）
21歳 ／ 女性 ／ イギリス人
容姿：髪色は落ち着いた色合いのブラウン。全体的に量が多く緩いウェーブを描いている。長さは胸を覆う程。普段は下ろしているが、働いている時は邪魔にならないよう纏める。瞳は深い藍色。身長160cm、平均的な女性らしい体型。全体的に清潔感があり、あまり飾り気がない印象。喫茶店ではブラウスにふんわりとしたロングスカート、薄い青色エプロンを着用。日用品や衣服は学生時代の寮のイメージカラーに影響を受けているのか、青色又は茶系統のものを好んで使う。
性格：穏やかな性格だが探究心が強く行動的。落ち着いているように見えて実は好奇心旺盛。珍しい茶葉や食材を探し求めて時折旅に出ている。焦りや怒りを表に出すのが苦手で、和やかな雰囲気を持つためか実年齢より上に見られることも屡々。本人は少しだけそれを気にしている。また、辛い時もそれを隠してしまう節があり、甘え下手で我慢しがち。昔から人見知りは滅多にせず、喫茶店でも客と気軽にコミュニケーションを取っている。世話焼きでお人好しな一面があり、困っている人がいるとつい声を掛けてしまう性分。
備考：ダイアゴン横丁の外れにある小さな喫茶店の経営者。日常生活を送る上で魔法の使用は少なめ。掃除も料理も可能な限り自分の手で行う。レイブンクロー出身のホグワーツ魔法魔術学校卒業生。魔法の腕はそこそこ、成績はそれなりに良かったらしい。両親共に魔法使いだが、現在家族がいる様子はなく自らその話題に触れることもない。
（ ／ 暖かいお言葉をありがとうございます…！加えて、ロルについても返答をありがとうございます、安心致しました…過度の確定はしないように気を付けて行きたいと思います。
プレゼント、とっても良いです！外見的には変わらずいつもの襤褸だけど魔法付きという設定が、主様が考えられたこの物語を象徴しているようで素敵で打ち震えております…！
また、娘様のpfを拝見させて頂きましたが大変魅力的で、尚且つ、甘え下手という点が山姥切国広と似通っているような感じも個人的にしているので変更の希望はございません！ただ一つだけお尋ねしたいのですが、ご不在であるご家族に関しては物語中でも詮索しない方が良いのでしょうか…？
ではそろそろ絡みに移りたいと思うのですが、初回文は此方が投下した方がよろしいでしょうか？場面指定して頂ければ当方次レスで描写を回しますので…！ ）
（ ／ 本当ですか…！匿名様からの提供一覧にて山姥切国広の名前を見た時ふと思い付き、もし彼に決まったらプレゼントしたいなと思っていたため、そう言って頂けて嬉しい限りです！では、タイミングを見計らってその描写を入れさせて頂きますね。
pfに問題はなかったようで安心しました。お褒めの言葉も頂きありがとうございます！また家族についてですが、一人きりでトリップしてしまった刀剣男士との共通点として、今回身内がいないという設定を付けさせて頂きました。ですので詮索はお好きなようにして頂いて構いませんし、寧ろそれを話すことによって物語や二人の関係性にも変化が生まれるかな、と…！勿論、創作Ｃの暗い過去設定等が苦手でしたら避けて頂いても大丈夫です。その際は此方も避けますのでお申し付けください。
ありがとうございます！それではお言葉に甘えて初回ロルをお願いしても宜しいでしょうか？場面は当Ｃの自宅に連れ帰るところか、その日は疲れて眠ってしまい次の日の朝からを考えていたのですが…。
それからもう一つ相談しておきたいと思っていたことなのですが、時代背景はどう致しましょう…？原作通り平和な時代から徐々に闇の勢力が復活していくという形にするか、若しくは世界観のみ原作からお借りして世の中は平和なままという風にするか…。ご希望聞かせて頂けると幸いです。 ）
（ ／ 回答ありがとうございます！成程、そういった意味があったのですね。触れても良いということでしたら、折を見て少しずつご家族について話をしてみたいと思います。当方暗い過去設定は苦手ではなくむしろ萌えなので、全く問題ありません！今後の展開が今から楽しみです。
そうですね…お恥ずかしながら魔法学校小説に接していたのが数年前となるので闇の勢力の細かい知識などが若干曖昧な部分もありまして、出来れば、世界観のみを踏襲した平和な日常を希望致します。当方としましては、提供Ｃは魔法も英国も知らぬ身ですので、平和な世の中であっても原作小説一巻あたりのような驚きとハプニングも楽しめるかなと考えた次第です…誤った認識であれば申し訳ございません。
場面の提案もありがとうございます！では、次の日の朝ということで回しますね。部屋の景色など勝手に描写している部分もありますので、問題あれば、お手数ですがロルの中や本体会話等で指摘や修正をお願い致します。 ）
ん……此処は…？
（微睡みの中から意識を持ち上げる契機となったのは窓から差し込む明るく暖かな陽射しと陶器が擦れ合う音色と控えめな足音が入り混じった生活音が感覚を刺激したからで、瞼を震わせて目を開ければ見覚えのない天井が視界に入り、気のせいかこの身を包む寝具の感触も普段より柔らかく感じられ、ぼんやりとした違和感と起床時独特の倦怠感に苛まれながらもゆっくりと上体を起こしては状況を把握するべく周囲を見渡し。見慣れぬ室内の風景から少なくとも己が以前身を寄せていた本丸とは違うようだが、さては新しい審神者に引き取られたか、それとも付喪神としての器を失う際に見舞われる走馬灯のようなものなのか。いずれとも判断がつかず、ただ無意識のうちに視線と手先で襤褸布を探ってしまうことから卑屈染みた性格は変わらずそのまま残されているようで。）
（ ／ それなら良かったです！その話題について触れるタイミングは匿名様任せになってしまいますが、宜しくお願い致します。
わかりました！では魔法界のごたごたはなく、平和な日々を楽しみましょう…！そうですね、時代も違えば国も違う上、魔法なんてものが当たり前のように存在している世界ですから、一つ一つのことに新鮮さを感じて頂ければと思います。当方も最後に小説を読んだのは数年前ですので、お互いに確認したい点が出てきましたらご相談下さると幸いです。
此方こそ初回ロルを回して頂きありがとうございます！店の構造や街の風景等は当方もぼんやりとしたイメージしか持っておりませんので、基本的にはお好きなように描写して頂けたらと思います。 ）
（ 開けた窓から朝の爽やかな風が吹き込み、カーテンの裾をひらひらと揺らす。昼頃には溢れんばかりの人々で賑わうこの通りも今はまだ殆どの店が準備中と書かれた札をぶら下げ、辺りはこの時間帯特有の静けさに包まれていて。洗い終えた食器を棚に戻している最中かたりと鳴った音を聞き、ふと上の階にいる青年のことを思い出して天井を見上げ。昨日連れ帰ってきた青年は怪我の影響か促すと直ぐに眠ってしまい、事情も聞けないばかりか自己紹介すらしておらず。開店前に一度彼の様子を見に行ってみることに決め、二階に続く階段に足を掛けて。青年が身を守るように被っていた布は血に濡れていたため、申し訳ないとは思ったものの勝手に洗濯し、現在はベランダで朝日を浴びている。あまりに大切そうに握りしめているのを見て、似たようなシーツを引っ張り出して掛けてやったのは数時間前のこと。あれが代わりになっていると良いのだが。シーツを掛けた時少しだけ穏やかになったように見えた寝顔を思い出しながら、昨日まで空き部屋となっていた扉をノックし声を掛けて。 ）
おはよう。…起きてる？開けても良いかしら。
――…っ！
（ 右手の先が探り当てた布地の感触はいつものそれとは些か触り心地が違うように思え、見下ろして視覚でも確かめてみるとその布が質感こそ似通っているものの己が平素愛用しているものとは別物だと判り、ならばあれは何処へ行ったのかと緩やかに首を巡らす。もしかすると主に取り上げられたのやもしれぬ――そこまで思考が働いたところで自らが籍を置いていた本丸から抜け出したことを今更ながら思い出し、主である審神者への危機感が俄かに胸中に滲み出、未だこの身に残留していた微睡みは瞬く間に立ち消え代わりに自覚したのはえも言われぬ焦燥感。悠長に構えている場合ではないと気持ちを切り替え寝台から降りようとしたその刹那、耳朶を打つ規則正しい打音と声に驚愕して身体を震わせ。声色から女性だということは瞬間的に理解したのだが紡がれる言語は己が聞き慣れているものとは違う響きを持っており、発言を正確に把握出来た訳ではないけれども今置かれている状況を確認する為にも応答するが良しと判断し、潜めた声で警戒心を節々に露呈させた質問を扉の向こうへと。 ）
……何者だ。
（ ／ 描写等諸々了解致しました！それでは、当方からは今のところ際立った疑問はありませんので、主様の方から何もなければ背後はこれにて一旦失礼しようと思います。改めまして、これから宜しくお願い致します。 ）
（ ／ 背後より失礼致します。当方インフルエンザにかかってしまい、数日間お返事を書くのが難しい状態です。置きレス推奨とはいえ開始早々申し訳ありません…！2、3日休んでいれば熱も下がると思いますので、それまでお待ち頂けると幸いです。 ）
（ ／ 体調が思わしくない中、ご連絡ありがとうございます。何かと調子を崩しやすい時期ですし、何よりこうして連絡を頂けただけでもとてもありがたいので、どうかお気になさらず養生して頂ければと思います……！
僭越ながら、主様の快復をお祈りしつつ、お返事を気長にお待ちしております。）
──嗚呼、そうだったわ。
（ こうして自宅の扉をノックするのも随分と久しく、新鮮な気持ちで応答を待つ。少し待っても返答が無いようなら未だ眠っていると判断し、音を立てないように覗いてみようと考えていた矢先、耳に届いたのは青年のものと思しき声。短い言葉を発したそれは確かに扉の此方側に届いていたものの、己には理解出来ない言語である上に、酷く警戒させてしまっているらしく鋭さを含んだ響きという印象で。一瞬何を言われたのか分からずその場で動きを止め瞳を瞬かせたが、昨日出会った際にまるで言葉が通じなかったことを思い出せば一人納得し、思わずぽつりと言葉を溢して。一度深呼吸をした後ドアノブに手を掛け扉をゆっくりと開き、出来る限り柔らかな笑みを浮かべて此方が敵意を持っていないことを示しながら顔を覗かせる。部屋の中へと一歩踏み入れベッドの方を窺い見ると、そこには昨日よりも幾分か顔色が良くなった青年の姿。一先ずほっと息を吐いては徐に懐から取り出した杖を自分の喉元へ宛てがい、彼と意思疎通を図れるよう呪文を唱えて。昨日傷を癒す為に使ったとはいえ、とても魔法使いには見えない彼にこんな得体の知れない棒切れを突然向ければその警戒心は薄まるどころか急上昇してしまうだろう。それを避ける為にもまず己に魔法を掛ける様子を見せ、咳払いをしてから今度こそ意味が通じるようになっているはずの言葉を紡ぎ出し ）
ごめんなさい、言葉が違っていたことをすっかり忘れていたの。…私はマルヴィナ・フレイス。ここは私の家よ。怪我はもう平気…？
（ ／ 温かいお言葉ありがとうございます！お陰様で体調も落ち着きました。この様な不甲斐無い主ですが、今後も宜しくお願い致します…！当方からも特に今話し合っておきたい事はありませんので、これにて背後は失礼させて頂きますね。 ）
ま、まる……？
（ 此方の問いが向こう側にも聞こえたのだろう扉が軋み始めれば一体どのような人物が顔を見せるのか緊張した面持ちで注視していたのだが、姿を現したのは優しい柔和な笑みを顔ばせに浮かべた年若い女性で。一方的に恐ろしいものを脳裏に思い描いていただけにその敵愾心とは程遠い柔らかな雰囲気に少し拍子抜けしてしまい、しかしながら彼女が目の前で木の棒を取り出す仕草を認め、一見殺傷能力は低そうに見えるもののもしや武器の類いであろうかと身構えたのも束の間、その矛先を自らの喉に向ける動作を目の当たりにする。それが一体何を意味するのかまるで理解が追いつかず首を傾げるばかりであったが、口を開いた相手が紡いだ言葉は先程とは違い己の頭にも意味を持つ響きとなって聞こえ、固有名詞であろうか、耳慣れぬ自己紹介を音としては認識出来ても一つの単語としては受け止めることが出来ず、それでも相手の穏和な態度に幾らか警戒心を和らげた声で疑問を交えた答えを返し。 ）
体調は――悪くない。
だが、一体これはどういうことだ？ここがあんたの家なら、あんたは、俺の新しい所有者…なのか？
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