上位種族さん 2026-02-19 06:09:25 |
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……っ、なに……
(聞き慣れない音が降ってきた。言葉の形をしているのに、意味がひとつも拾えない。柔らかい響きなのに、耳に落ちた瞬間にぞわりと背中が粟立つのは知らない音、知らない声だからか。意味を汲めないのに、自分に向けられていることだけはわかった。無意識に後ずさるが、足がもつれてしまう。湿った土が靴の裏に絡みついて、思うように動けなかった。視界いっぱいに広がる灰色の毛並みは、猫に見えるのに大きすぎる。知っている“猫”の形をしているのに、全部が違った。「……なに言ってるの……わかんない……」必死に耳を塞ぎたくなる衝動をこらえた。意味が分からない言葉ほど怖いものはなくて、怒っているのか、優しいのか、それすら分からなくて、分からないものに囲まれる感覚が、じわじわ喉を締めつけた。「……アタシ、何もしてない。ほんとに」通じるかも分からないのに、口が勝手に動く。震える声が情けなくて、つい唇を噛んだ。こんなの自分じゃないと、視線が怖い。大きな影の奥にある縦に細い瞳が、自分だけを見ている事から逃げたいのに、逸らしたら終わる気がした。だから膝は折らず、泣きそうな顔のまま、歯を食いしばって大きな存在を見上げる。怖いけれど全部崩れるのだけは嫌だった。だからせめて、立ったままジッと目を合わせて)
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