□□ 2025-12-30 22:14:59 |
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( 雑誌棚の前に立ちながらも、目線は自然とレジの方に向いている。いかつい見た目の客と対峙した楓の動きが一瞬止まったかと思えば、次にレジが発する悲鳴みたいな警告音(そんな音も鳴るんだレジって)。続いて床に散らばる小銭の音。――ああ、やったな。顔色がみるみる悪くなっていくのが、少し離れていても分かる。しかもなんか、アイツが一度だけこちらを向いた。助けを求めてるのも、テンパってるのも、全部伝わってきて、思わず一歩踏み出しかけるがすぐに足を止める。これはアイツの試練だから。いかつい見た目の客が、何も言わず待っているのを確認してから、ようやく少しだけ肩の力を抜いた。)
辞めるのは無し。
( 退店していく客の背中を確認して、ようやく雑誌棚から離れてレジの前まで戻る。頭を抱えている楓を上から見下ろし、本気とも冗談ともつかない弱音を一蹴してから、落ち着いた声音で続ける )
小銭ばら撒いたし、変な音鳴らしてたし、正直バタバタだったな。顔も死んでたっていうか、魂抜けてた。……それでも途中で投げなかっただろ。
( 視線を合わせ、口元をわずかに緩めて。カウンター越しに身を乗り出し、片手で楓の頭を軽くぽんと叩く )
さっきの客もさ、見た目はいかつかったけど、小銭拾うの待ってたし、急かしてもなかった。
……ちゃんと出来てたよ。次はもう少しマシになるって。
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