匿名さん 2025-08-27 00:14:52 |
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君は人を褒めたり木にしたり、忙しい人間のようだ。…… 口より手を動かす方が今は有益だろうけれど。
( 地面に石を突き立てる。未成熟な体で持ち上げられる程度の石では、苔を剥がすのもひと仕事だ。僅かに視線を上げると、木々の隙間から覗く光が逆光になって彼の顔がよく見えない。褒めているのか貶しているのか、どちらでもなく適当なのか、それすら伺えず、視線を地面に戻した。ただ、彼の手が土に汚れないことは何故だか良いことのような気もした。これでは側仕えのようだと鼻で笑うような小さな吐息が零れる。そんな彼が横に来て、枝を手に穴を広げ始める。石の自分に比べればいくらもマシであろうが、それでも枝を持ち彼の手も土に汚れる。自分と同じになっていく。何も変わってはいないのに、自分の価値が上がったような気分だ。僅かに滲んだ汗を手の甲で擦って、彼の言葉を聞く。不思議そうに何度か瞬きをした後に首を傾げて、彼の表情を伺い。)
…… 元より、ただの野良猫だったのだから、死を悼んでもらえるだけでも幸せだろう。……… 気取った理由というのも気になるが。
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