名無 2025-05-17 22:50:57 ID:a7abddbaf |
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「 まだ 始まっていなかったことがやっと始まる瞬間 、 それは 運命 か 奇跡 か 。 」
昨夜の あの胸が締め付けられるような夢から醒めて 、 まだ外は暗いのに脳が覚醒している。
チクタクチクタク… と音を立てている木の時計を見ると まだ午前4時台だった。
だが 目が覚めてしまってもう寝れそうにないのなら仕方がない とケジメをつけて
ベッドから起き上がる。
ーーん゛ん゛??????っ
立ち上がって伸びをすると 窓の方へ行きカーテンを開けついでに窓も開けて
籠もった空気を入れ替えるために換気をはじめ。
まだ夜明け前だからか窓を開けた瞬間に吹き付けてきた風は冷たい。
6時くらいになって陽が昇ってきたら散歩がてら朝食を調達しに行こう
と決め机の前の椅子に座る。
だが いつもと違って 、 何もしないのはどうも落ち着かずもう一度立ち上がる。
といっても ほとんど何もすることがないので本棚から一冊適当に本を引っ張ってくる。
その本の題名をチラッと見てみると
「明日を生きるなら」
とある。
心なしか少々気になる題名だったので その緑色のカバーのついている少し古い本を開く。
一文目は「ある日、突然君と出会った。」とある。
更に読み進めると
「もし、明日死ぬか生きるかを選択することができたらどちらをえらびますか?」
と書いてあった。
その文字をじっと見つめて数十秒考えた。
自分だったら明日は生きて 、 もうしばらくしたら飽きてくるだろうからその時に死ぬ。
ほとんどのひとがそうなのではないか。
死ぬという選択をする人は今の生活に飽き飽きしてもう希望もなく消えたい人だろう。
反対に生きたい人はまだまだ叶えたい夢があったりまだ中途半端な地点にいる人か。
自分はどちらかというと後者に当てはまる。
ただ そこまで考えて現実は生死の選択権を与えるほど甘くはないと気づいた。
決して思い通りにならないのがジンセイだ。
次のページをめくり暫く物語にずんと浸っていくことにした。
それは二人の男女が離れ離れになるところから始まり
もう一度出会い
今度は幸せになれることを望んで世界の果てまで旅する
そして、その工程で様々な愛の形に出会い
何度も不幸を味わって
どちらかが辛くなり
両者が幸せになれる方法を探すけれども
中々幸せにたどり着けない。
そこで最初の「もし、明日死ぬか生きるかを選択することができたらどちらをえらびますか?」
に戻ってくる。
二人とも生きる選択をして世界の果てに向けて歩く。
世界の果てにたどり着いたときには幸せになれる彼らなりの愛の形を見つけた。
いや、愛の形を見つけたから世界の果てにたどり着いたのか。
どちらかは読んだ人に任せるがそこで白紙のページになり物語が終わった。
気づいたら物語にのめり込んでいて一気にすべて読み終えてしまった。
なんとなく自分には後味の悪い話だった。
だが悪い話ではない。
そこではっとぼんやりしていた意識が覚醒し 今は何時か気になり時計を振り返る。
少し驚いた。
家を出る予定だった6時より2時間過ぎて今は8時になっていた。
自分の集中力に驚いた。
此処に来てからは こんなに集中して何かをしたことが数えられるほどしかなかった。
ぐぅーーっとお腹が鳴って起きてからそんなに時間が経ったら腹だって減るよなと思い。
玄関に立って行き下駄に履き替えるとドアをスーッと開けるとすぐに眩しさに目が眩んだ。
そうなることが分かっていてできるだけゆっくり開けたのだが意味がなかった。
思わず目をぎゅっとつぶり手を額の前に当てながら一歩ずつ太陽の方向に進む。
いつも通っているスーパーの方へ歩き出してふと空を見上げるといつも以上に快晴だ。
何かいつもと違うことが起こる予感がした 、
のは気のせいだろうか。
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