2025-01-26 00:23:08 |
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………っ、ベアトリス……! 離してください、彼女は──
(警備隊長らしき男に先導され、両側を固められ部屋の中から姿を現したベアトリスと目が合った瞬間、反射的に名を呼び無実を訴えようと声を上げかけたが、その刹那、彼女の澄んだ声が場を制した。抗えぬ力に腕を引かれ、野次馬たちの好奇の視線を一身に浴びても、彼女の声音は微塵も揺るがず毅然とした響きを宿し、まるで自身にさえ言い聞かせるように、静かに、しかし確かに前を向いていた。最後に送られた微笑みは儚く、それでいてどこまでも凛としていて、ひどく胸が締め付けられる。閉ざされた船の中、一度張られた悪意ある噂は容易には消えない。疑念と恐れ、不確かな憶測が渦巻くなかで彼女はそのすべてを振り払い、自らの潔白を証明するために歩みを進めていく。その背にあるのは、無実の者だけが持つ純然たる光だった。警備兵たちの輪が再び閉じられ、客室の扉に施錠し、立ち尽くす自身の前に踏み出した一人の警備兵が煩わしげに眉をひそめて低く告げる。「関係者でもないあなたが騒ぎ立てても無駄です。証拠の一つも持たないなら、邪魔をしないでくれ。」喉が詰まり、言葉が出ない。悔しさと焦りが入り混じり胸の奥を燃やしていくが、それで終わらせるわけにはいかない──そう、証拠だ。証拠を持ってくるしかない。昨晩の出来事を確かにこの目で見た。モラレス侯爵が倒れる直前、彼の席、彼のグラス、隣に座すベアトリスと周囲の様子。その光景を確かに記録しているはずだ。あの時広げていたスケッチブック、もしそこに、何か手がかりが写っていたならば。警備兵たちの冷ややかな視線を背に受けながら踵を返し、次の瞬間には駆け出していた。靴音を廊下に響かせ、息を切らしながら自室の扉を乱暴に開く。机に投げ出していた数冊のスケッチブックから一冊を掴んで急くようにページを捲り、荒い呼吸が紙の上に落ちる。そして──見つけた。鉛筆の走った線が昨夜の光景を鮮明に蘇らせる。紙が指の汗を吸い、わずかに波打った。これが、この一枚が、何かを変えられるかもしれない。スケッチ帳を握り締め、焦燥を胸に再び部屋を飛び出した。)
(/ご確認並びにご対応ありがとうございます!加えて、直近で一つご相談がございます。。ご提案もとい我儘なのですが……この展開でのスリル感&ドラマ性を増したいと考えておりまして、アーサーが証拠品を提示したいと船長室の前で掛け合うも相手にされず→船長室外に待機しているバムフォード氏orワイズナー嬢に手助けいただく、というもたつきを挟めたらと考えてみたのですがいかがでしょうか…?(一等客なのでお付の人がそこまで同伴していることもあるのかなと!)もし採用いただけそうでしたら同伴の描写を取り入れていただけますととても嬉しいです…!そして遅れて登場したいので船長室では先に尋問が始められているとすごく…すごく嬉しいです…ベアトリス嬢に心細い思いをさせてしまうことだけが心苦しいのですが……!!)
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