* 2025-01-05 08:39:46 |
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これだけ良くしてもらっておいて文句なんて。( 塗り変わった顔色に彼女の人柄を見た気がして、ふ、と表情緩め / マグカップを受け取るためその両手を包み込むように上から手重ね / 温もりがこちらに移ったなら、部屋をぐるりと見渡して )この部屋の中で栞さんのお気に入りの物が知れたら、おれも愛着が湧いて落ち着ける、かも?( 疑問形で首こて / さらに「バンドメンバーのように紹介してほしい」と真顔で冗談を )
バンドメンバー、ですか…?( まだしっかりと手の甲に残る彼の体温に、どきんどきんと跳ねる心臓を胸に抱えていたけれど / 予想もしなかったリクエストを受け、瞳をまんまるにしながらゆっくり首傾げ / 向けられた表情からは“ 冗談 ”ではなく“ 本気 ”を読み取り )えっと…、私のお気に入りは、このソファです。ふかふかでとっても座り心地がいいんです……。あ、このソファクッションも抱き心地ばつぐんなんですよ…!…こんな感じであってますか…?私、バンドのことは全然分からなくって…( 数秒考え込んでから、見えないマイクを右手に握り口元へ / 初めこそ自信無さ気な声音だったものの、次第に無邪気な笑顔見せ / そこでふと我に返り、恥ずかしそうに眉を下げ、ほんのり淡い頬を両手で隠し )
ばっちり。このソファは今からただのソファじゃなくて、栞さんお気に入りのふかふかソファに格上げです。( 紹介を受けながら「ふんふん」だとか「たしかに」だとか相槌を打ち / 合間にソファクッションを触ってみたり / フィードバックを求める声にはぐっと親指を立てて / いいね! )本当にやってくれるとは。…ふ、かわいいな。( 戸惑いながらも応えてくれた彼女の姿が蘇り、一拍遅れて思い出し笑いならぬ思い出し緩み / 少し近づいて頭ぽん / しかしバンドノリは継続で )よし、続いて行ってみよう。
か、かわいいだなんて、全然そんなこと、ないです……( ふいにかけられた胸のときめく言葉と、頭部を包む温もりに、瞳をぱちり / 弱々しく伸びる語尾と共に、ぶんぶん首を横に振って否定 / けれどその語調には明らかに照れ混じりの嬉しさが滲んでいて / 何とか気持ちを落ち着けたところで、徐ろに彼の手の下から離れては、ソファの向かいにあるアンティーク調の本棚へと足を運び )続いてのお気に入りは、こちらのオーク材の本棚です。そこまで大きくないし、シンプルなデザインですけど、このガラス扉とか落ち着いた色合いとか、何もかもが私の趣味にぴったりあっていて。中に並んでいる本も、上に飾ってある小物も全部含めて、目にするたびに心がときめいて幸せな気持ちになるんです( 滑らかな木肌にそっと手を触れ愛おしそうに瞳を細め / そこには愛読の洋書や文庫本などが収められており / 飾られているのはサイズの小さな英国アンティークの真鍮製キャンドルホルダー、淡いピンクの芍薬が活けられたガラス花瓶、それと甘めの香り香水 / 手にマイクを持つことを忘れたまま、ぽつぽつゆっくりと言葉を繋ぎ )
ほう、確かにこれは…( ルームツアーよろしく彼女の後に続けば、本棚を一目見て / 誰にともなく「持ち主のこだわりがうかがえるな」とぽつり / 説明に耳を傾けながら、立ったり屈んだり、点検でもするように丁寧に観察し / 最後にそっと側面を撫でて / それから隣を見ると )…──くやしいな。おれが褒めた時よりときめいてる。( 柔らかな表情に思わず此方も顔を綻ばせ / 言葉に反してその眼差しは優しく )
その時は必死にお姉さんぶって、心を落ち着かせていたんです。本当は夕佐さんに聞こえちゃうんじゃないかっていうくらい、心臓どきどきだったんですよ( 本棚も、こちらの気持ちも、全てを丁寧に扱ってくれている彼をあたたかな気持ちで見つめていたら / とても優しい眼差しに気がついて / 先程のときめきを思い出しては、ゆるゆると眉尻を下げ、えへへ )
うそだ、とてもそんな風には…( 心なし眉を持ち上げて見せるけれど / よくよく思い出してみるとそうだったような? / 心情に連動して保留していた言葉は「見え、なくもない、か?」と続いて / とはいえやっぱり曖昧なので、真っ直ぐ視線を向けたまま確かめるようにもう一度 )かわいい。
……このほっぺで、納得してくれますか…?( 目と目を合わせた状態での反則級の不意打ちに一瞬で思考停止 / 視線を逸らすことさえ叶わぬまま、ぽふんと頬を、続いて耳までを淡く染め / 降参と言わんばかりに右の頬を彼に見せて )
…うん、おれに聞こえそうなくらい、どきどきしてるんだ。( 分かりやすい反応に呆気に取られたのも束の間 / すぐに満足げに目細め、先程聞いた台詞を繰り返し / 彼女のお気に入りの本棚へ「悪いね」と勝ち誇ったように声を掛け、ぺしぺしと軽く叩いて / それから少し温度の下がったコーヒーを一口啜ると / おもむろに手の甲で赤い頬に触れ )同じくらいかも、温度。
なんだかすっかり仲良しになってます…、ね…( 白旗を振ったおかげで、ずっと無意識に引き締めていた心が程良く和らぎ / 頬を差し出したまま、彼と本棚のやりとり( ? )をくすくす楽しげに見守っていたけれど / その頬に触れた温もりに微かに睫毛を震わせて / 大人しく体温を測られた後、そっと両手を伸ばしては、彼の頬を手のひらで優しく包み )……夕佐さんはあんまりあつくない…
ハートだけなんだ熱いのは。( 伸ばされた両手によって強制的に向かい合わせになり / 意図を測りかねて見つめ合うこと少し / ややあって聞こえた呟きで動機を悟ると、瞼を下ろして芝居がかった調子で適当を / ゆっくりと目を開いたその後、ふっと力の抜けた笑みを浮かべて )…びっくりした、一瞬おれが本棚とばっかり仲良くするからやきもち妬いたのかと。
ふふ、やきもち、ではないんです。私のほっぺを触った時、夕佐さんもどきどきしてくれているのか、どうしても気になっちゃって。驚かせてしまってごめんなさい( 何だか可愛らしい三角関係を想像しつつ、ほのぼのとした表情で彼の頬を解放し )でも、そっか…。じゃあその時、ハートは熱かったですか?( 後ろ手を組み、首こてん / 真っ直ぐな眼差しで問い掛けて )
ハートはいつでも熱いけど。…、おれがどきどきするかどうかは、栞さんが聞いて確かめて。( 通常運転の軽口で一度言葉を切っては / 僅かな思案の後、マグカップを持たない片手を頬へと伸ばし / 彼女の両腕で届いた距離は必然、こちらからも届き、指先は髪を梳くようにして後頭部へ / 抵抗が叶う程の力で自分の胸元へ頭を預けさせたなら / そこからは徐々に早まる鼓動が感じ取れるだろうか )
……、どきどき、してます。とても。……かわいい( ほんの十数秒前まで、ぽやぽやと彼を見上げていたはずなのに / 気付いた時には頬も耳も、ぴったりと彼の胸に / あまりに甘く優しい動作だったものだから、どうして抵抗なんてしようと思うだろう / そのまま柔らかく目を閉じ、あたたかな心音にじっと耳を澄ませ / 悠々とした言葉、表情とは結び付かないその拍動に、きゅんと深く胸を締め付けられ、心からぽつりと )
……栞さんは、どうしてそんなことが気になったの? おれがどきどきしてると嬉しい?( 彼女が心音を聴く間、目線は本棚の上の小物へ / かすかに漂ってくる甘い香りはあの香水だろうか、なんて考えていると鼓動はますます早まって / やがて小さく零された呟きでそれが伝わったことを知ると / 声の主に注意を戻し、そこへ覆い被さるようにそっと鼻先を埋め / いつもより少し低い、囁くような声音で尋ねて )
しばらく間が空いてごめん。有効期限切れだったら遠慮なく言ってほしい。( 目閉じ / 反省の顔 / 蹴り可 )
夕佐さんの言葉を、信用していないというわけではないんです、絶対。…でも、言葉だけじゃない何かで、「 かわいい 」と思ってくれた気持ちを感じたくて…( 花の香りを纏ったぬくもりに包まれながら、ゆっくり丁寧に答えて / 言葉を切ってもう一度、胸の音に深く耳を澄ませ / 鼓膜にも心にもその鼓動をしっかりと刻んでから、軽く上半身を引き、彼の顔を覗き込み / そっと視線が重なったなら、溶けるようにはにかんで )だから、はい、とても嬉しいです。
謝ることは、なんにも。夕佐さん、おかえりなさい( 何度も首を横に振り / 緩む目尻に嬉しさ滲ませ / 蹴り可とあったのに反応ごめんなさい、どうぞこちらは蹴ってしまってくださいね )
存外欲しがりなんだな、栞さんは。( 彼女の表情が露わになるにつれて後頭部に添えた手のひらは首元へと落ち / 可愛らしい理由に優しく眦を下げて / そこから動きだすと同時、「でも」と呟けば / 次の瞬間には唇──のすぐ横に口づけていて )…可愛いと思われてる相手に不用意に近づいて、こうなるとは別に考えなかった?
栞さんこそ謝ることはなんにも。( 迎え入れる言葉にはにかむようにごく小さな声で「た、」と躓いてから )…ただいま。( おもむろに手広げ / 試しのハグ待ち )
そう。欲張りなんです、わた ──( あっさり見抜かれてしまえば、恥ずかしそうに眉下げはにかみ / そのまま寛いだ調子で続くはずだった「 し 」は、不意の口づけにより音になる機会を失って / 数秒、瞬きも呼吸も忘れ、真っ白になってしまった思考ゆえに、紡ぐ答えは本心そのもの )………少し、考えました…。…ね、欲張りでしょう?( 首筋に触れる手に、熱を持った指先を重ね、ぽつり / 瞳は伏せているものの、ふわふわくらくらしていることは明らかで )
ふふ、また会えて嬉しいです( 広げられた両手の中へ、そっと収まり / 両腕を背中に回し、ぎゅ / 幸福そうに呟いて )
! …なるほど、つまりおれはずっと栞さんの手のひらの上だったということか…( 予想に反した返答に瞳を大きく / まんまと無防備さに釣られた己の行動を振り返って / ふむ / それから首を傾げるようにしてそっと顔を覗き込むと / 目を合わせた後、今度こそ唇を重ねて )欲張り度合いならおれだって負けてない、な。( 静かに呟く声が落ち / まっすぐ向ける眼差しは若さ故の未熟な熱を帯びて )
離したくなくなること、言う…( 彼女の腕が回されるのを待ってから / 貝が閉じるようにぎゅ / 言葉の通り離す気配も隙もなく )
( どうか信じて。全部が全部、計算のもとに選択された行動だったというわけでは決して、ないの。…でも、もう嫌われて、しまったかな… / 心の内の切な叫び / こちらを覗く瞳にその答えを探そうとしたけれど / 薄く開いていた唇が甘く塞がれ、瞬間、何もかもを放棄し浸るように瞳を閉じて )── 、…このペースの欲張り競争は、私、身がもたないよ( 彼の眼差しとは対照的な、ほうわりと蕩けたような眼で数秒見つめ返し / くら、と力が抜けたように片頬を彼の胸に預けてからやっと口を開いて / 敬語がすっかり抜けつつも、笑みを含んだとても柔らかな口調で )
わ、どうしましょう。すっかり捕まってしまいました( 自力での脱出は不可能と早々に悟り / けれど抜け出そうという考えは初めから持ち合わせていないので / ちっとも困った風もなく、ふふふと楽しげに身を捩ってみせて )
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