常連さん 2024-10-29 22:26:54 |
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……!?
(外側から並びかけてきた相手の自身より更に深い位置でのブレーキング、しかしそれは誰の目から見ても明らかなオーバースピードで、あれで追い抜きなどというのは到底現実的ではないだろう。しかし無策でこんな無茶なコーナリングを仕掛けてくる程稚拙な相手では無いはず……そこで初めて自分の走行ラインが既に相手の車体により限りなく限定されてしまっていることに気づく、この高速区間で完全に頭を抑えたまま仕掛けのポイントへと向かい圧倒的優位のイン側から勝負をかけるプランは完全に崩壊した。やはり相手は巧い、何より自分とは違いバトルにおいて踏んできた場数が違うのだろう、運転技術に関してはそこまで大差はなくともそこに明確な差があるように思う「完全にやられましたね……ですが」勝ち目はだいぶ薄くなってしまったものの、しかしながら闘志は潰えなかった、元より経験不足は承知していることであり今更驚くような事でも絶望するようなことでもない、自分はそれでもこれまでに積み重ねてきた愛車とコースとの対話、それに心血を注ぐことしかない、やるべき事は変わらないのだ。人事を尽くして結果的に負けるのならばそれは致し方のないことだが、ここで投げ出してしまえばこれまで自分のしてきた事全てを否定することになってしまう、それだけはダメだと針の穴を通すようなコントロールで限りなく狭められた走行ラインをロスなく抜ける。辛うじて前はキープしているがパワーで勝る相手にここでこちらがやれる事は何もない、唯一にして幸いなのはこの高速区間は決して長くは続かないということ、これがもう少し長ければパワー差を覆せずここで勝負は決まってしまっていただろう。急流を降るような急勾配はここまで、いよいよ勝敗を分けるこのコース最大の難所がやってくる……予想通り鼻面をインに差し込んでくる相手、しかしもはやそんなことは関係ない。横並びでのブレーキング勝負、相手の方は見ない……この状況自分に通せるラインは既に一本しかないからだ、心を乱さずマシンのコントロールにのみ執心し深く切り込む右を目測と寸分狂わぬライン上を滑らかに走らせる、勝負を捨てていないことを示すかのような接触スレスレの豪胆なラインどり、ここまでの走りで相手の技術を信頼しているからこそ出来ることであった)
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