可惜夜 2024-09-16 17:35:11 |
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彼等の会話を聞いていると、見た目はかけ離れているが、言い訳がましさやそれを観て呆れる様子は何も人間と違わない。成人男性の背中を叩いてあやすなどの行為は決して解せないが、感情や欲望に動かされる姿はより人間らしいのかもしれないと感じていた。そしてもう少しこの状態のまま耐えてくれと言うので、今度は擽らないよう顔を背けて「分かった」と一言了承する。どうやら自分は想像以上に順応性が高いらしく、花は再生可能という点にも、もう大して驚きはなく、寧ろそりゃそうだよな程度に受け止められるようになっていた。しかし去り際の2人の会話の『裏で遊ぶ』『操が緩い』という言葉や他の連中の反応に、ここまで紳士的な対応を貫いてきていたのにここに来て此奴は一体何処で何をするつもりなのかと人知れず固唾を飲んでいた。
裏路地へと入る彼の肩で揺られて、すれ違う人外達や景観を眺めていると、歌舞伎町にありそうなネオンに中華料理屋の店裏、ヨーロッパの街並みの一角に世界遺産を模倣し縮小したような建物と、相容れない建築物が混在した世界観に、これまた「何だここ…。さっきと全然違う…。」と圧倒される。シュミレーションゲームで好きな建築物を詰め込んだような、高熱の時に見る夢の中に迷い込んだような混沌とした街並みではあるが、幽鬼の住む街と言われれば此方の方がしっくりくる。暫くして相手の体から離され、やっと地に足をつくことが出来た。ポロシャツに引っかかった植物の葉を払っていれば、彼が両手をあげて改めて触れない事を誓う。今となっては特に気にしていないし、折れた花々も考えればおあいこといった所だろうと上から目線この上ないが、平気な様子で伝えて。
「流石に驚いたけど、まあ助かったし…。1回だけだし許してやるよ。…それで今度はカオスな場所に連れて来られたけど、俺はここから元の場所に戻れるんだよな?」
此処に至るまで、自分にとっては奇想天外な事ばかりが起こっていたけれど、何の為にこの相手を信じて着いてきたのか目的は忘れていなかった。此方へ触れないことの以前に、最も重要な現世戻るという願いを相手も忘れていないかと再確認するように腕を組み相手を見上げて。
(/遅くなりました…!お待たせした上に駄文ですみませんん…)
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