可惜夜 2024-09-16 17:35:11 |
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実際に暁闇街の前に立つと想像以上に壮観な光景が広がっていて「これは…江戸にタイムスリップしたみたいだ。」と顰めっ面から目を丸っとさせて好奇心溢れる様子で。相手の背中からまた一歩踏み出し街中の景色を観察してみる。映画村のような時代劇のセットよりも生活感があり、本当にタイムスリップしているようで正直相手の話も「へえ…はいはい、幽鬼な。確かにヒトは居ないな…。はいはい。」と聞き流す程には街並みに釘付けだった。相手が言う幽鬼達の様子は、ここに着いてからすぐは各々が通りを歩き、長屋に出入りをしていて、その様子には可惜夜や街外れの人外達で慣れていたので特に何も思わなかった。寧ろ江戸時代の人々の生活を観察しているかのようで興味が湧いた。しかし1人、2人と此方の存在に気付き顔を向けられると、波のように伝染して一気に注目が集まる。時代劇から一変、和ホラーのように様々な幽鬼達がゆっくりと迫り来る。彼方此方の長屋からも巨体を表し、中には両手一杯の金や綺麗な絹織物、和菓子の様な食べ物を持って出てくる者も見られる。そして全ての人外に共通して大きく瞳孔が開いていて、可惜夜でもなく自分自身に無数の眼差しを向けられていた。舐める様な視線に思わずブルッと身震いし、
「お近付きって雰囲気じゃないし、手が早いって…。お前からこの化け…じゃなくて幽鬼達に何か言って追い返せよ。」
あっという間に街の者達は周囲に集まり、可惜夜が居るからか急に手を出そうとはしないが、虎視眈々と隙を窺っているのは感じて。この状況では相手に触れる触れないはどうでも良く、手招きされれば素直に相手のすぐ左脇に近付く。それで異形達が退いていくことはなく、ついに真横にいた巨体の異形はぬるっと大きな手を差し出して来るので声を上げて驚愕し、可惜夜の体側にぶつかる様にして寄り付く。この世界に来てから1番のピンチだと言うのに、相手はこの光景も見慣れた様子で下手に刺激しない方が良いとでも言うのか、牽制する様子も無い。流石に痺れを切らしたのか袂をグイグイと引っ張り、縋るように相手の名前を呼び。
「うわっ…!!近寄るな化物…!おい、いい加減どうにかしろよ、聞いてんのか!可惜夜…!」
(/わあぁワクドキして頂けたようで良かったです…!!ありがとうございます…。メイン2人の進展も秒読みかと思うので、嫦娥様の初登場も楽しみにしております!!一通りかましてもらったら西本も投下いたします!)
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