セイチャットファンさん 2024-08-01 19:55:55 |
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(歩く道中、男から聞こえてくる声には曖昧な相槌だけを返しておいた。漸く事務所へ辿り着いた後は、男を─大学では見慣れぬスーツ姿の壮年に手渡せば、その男性から何度か頭を下げられる。この見た目のせいか、人から頭を下げられることには慣れない─その礼には「大したことしてないんで、気にしないで大丈夫っす」と素っ気なく断ったものの、今しがた自身が連れてきた男が何やら鞄の中を探ったかと思えば、小さな紙─恐らく名刺だと思われるそれを手渡そうとしてきた。途中で床に落ちたそれを拾い上げ、そこに書かれている名前にざっと目を通した後─漸く脳内で思い当たる節を見つける。幽霊か何かのような容姿に、支離滅裂な言動。かつて、親戚の集まりで見た─だが、確証は持てない。消沈した様子の男を見据え、「…迷惑掛けねえってんなら、別に…」と自身にしては少々歯切れの悪い返答をし)
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