ひみつのひととき(〆)

あー…悪いけどちょっと用事あるから今日はパス。おー、またな。

( 普段通り授業が終わり、迎えた放課後。友達からの遊びの誘いを断り適当に別れの挨拶を交わしてから、教室に残っている一人の男子生徒をちらりと一瞥し──昨日、何の気無しにSNSを眺めている際に発見したアカウントの事を思い出す。それはアニメキャラに扮した写真を載せている、所謂コスプレイヤーとやらのアカウントだった。自身はアニメにもコスプレという文化にも特に関心は無いが、繋がっている女の子の中にはオタク系の子も居るし、恐らくその子経由で流れてきたのだろう。そんな普段は気にも留めない存在に興味が湧いた理由はただ一つ、投稿者の顔立ちにどことなく見覚えがあると感じたから。──そして思い当たったのが、面識自体はあるものの関わりは薄く自身のような人間とは正反対の“暗い真面目くん”といった印象を持っている目の前のクラスメイトという訳で。仮に同一人物だとすれば女装趣味、という事になるんだろうか。…流石にないか？でも同じとこに泣き黒子があんだよなあ…なんて数秒思案してみるも、考え込むより直接本人に訊いてみた方が手っ取り早いと判断。違ったら違ったでそれで終わりなだけだ。画面に例のアカウントを表示したスマホ片手に、好奇心の赴くまま彼の方へと歩み寄ればヘラりと薄い笑み浮かべつつ声を掛け。 )

なあ、ちょっといい？……この“マキ”ちゃんってさ、なんかお前に似てねえ？


(/ 開始させて頂きました！初回なので説明や心情が多く長めになってしまいましたが、ロルの文量にムラがあるので今後短くなったり長くなったりしてしまうかと思われます…。もし続けにくかったら遠慮なく仰ってください。)