東 2024-07-20 01:24:27 |
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(――ああああやっちまったやっちまったやっちまった。
そりゃな、わかってたさ。スダケンに限らず俺だけ見てろなんてそんなハードボイルドなセリフが似合うヤツ画面の向こう側にだってそうそういないだろう。キャラ的に言えばそれこそ対角線上に位置しそうな俺が似合う道理はない。わかっていた。せめて爆笑でもとれりゃまだマシだったがそれも無し……つーか一瞬ネタが伝わってなかったまである。
幸い途中で気づいてくれたみてーだから良かったものの『何言い出してんだコイツ』と目を疑うような東の視線を思い返すだけで頭のなかが真っ白になる気がした。)
うっせ――わかってるよ……。
(なんとかそれだけ言い返して顔を背けた。
考えてみりゃスダケンもどういう経緯でこんな罰ゲームみたいなセリフ吐く羽目になったんだろう。お前のせいですべったぞという謎の恨みが沸いてくる。それでもちらりと東をみれば少なくともキショいとまでは思われてなさそうでほっとする。
鬱々とした俺の気持ちを代弁するかのように翳った斜陽に対して街灯がほんのりと色を付け始めていた。
大型チェーンのコンビニには幾多も自転車が止められていて忙しさを物語っている。ゴストで食事をしていなければ東と寄るような提案もあったかもしれない。
すっかり満たされた腹具合を確かめるように胃のあたりを撫でる。夕飯はきっと入らない。まず気持ち的にも整理したい。感情がないまぜになっている今は何も考えたくなかったが。)
――じゃ……。
(いよいよ訪れた岐路。夜の空気を鼻腔に感じながら小さく手をあげる。
楽しく遊んだ後に感じる友達と別れる瞬間の寂寥感を多分に噛み締めながら東の顔をみる。今生の別れなどではないがしっかりと見ておきたかった。)
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