雁金 2024-07-07 17:25:08 |
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(何故だか、月の無い漆黒の闇夜は妙に落ち着く。こうして人の皮を被り、人の振りをしていても─やはり己は化生の存在に過ぎないのか、と自虐的な苦笑が浮かんだ。特に意味は無いのだが、ふと公園に立ち寄った時─腹を押さえ、ベンチに座っている青年の姿が目に入る。体調が悪いのか、と思いはするものの─自分には何一つ関係ないことである故に、無視してその場を立ち去っても良かったのだが、無視できない理由があった。屈み込む青年の背後には、首が有り得ない方向に捻れた異質な人影が立っている。雁金は苛立ったような小さい舌打ちを一つ、青年の方にずかずかと遠慮なく歩み寄って声を掛け)
…おい、クソガキ。いきなり変な事聞くが…お前、もしかして「見える」類の人間か?
(そこまで言葉を紡いだ所で─嫌悪に歪んだ表情のまま、青年の背後に立つ人影を指差す。人影の視線がゆらりと動き、雁金を視界に捉えた途端─人影は不安定に揺れ動き、怯えるような所作を見せた。その様子を見ては再び舌打ちを一つ、青年と目線を合わせるようにその場に屈み込み)
…見えねえってんなら、俺はこのまま帰る。…だが、見えるってんなら…助けてやってもいい。どうする。
(確認させて頂きました。こちらこそ、不備や要望等あれば遠慮なくご指摘ください。)
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