伏見静 2024-05-20 07:55:48 |
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(ふと聞こえた声に、自分も何かに目を通すか、と手にしていた資料から顔を上げる。同じタイミングで顔を上げた貴方と視線が絡み、次いで向けられた言葉には「はい」と返して。悪意ある噂話や道中で注がれた視線を思えば、面倒そうだというのは理解できる。資料をしまって後を追うと、貴方が刑事たちと鉢合わせしている場面に出くわした。それだけならばまだ何も思うことはなかったが──鼻で笑い、あろうことか嫌味を向けられれば良い気はしない。険しい表情をしそうになるのを堪えて、貴方に続いて資料室を出ようと足を踏み出し──聞こえた言葉にピタリと動きを止める。それが皮肉だとか、嘲りだというのはわかっているが、似合いだと言われて此方が不快になるとでも思っているんだろうかと呆れたような心地になり。ふ、と小さく息を入れ換えれば年若い刑事をひたりと見据えて目を細め。「似合いですか。今日組んだばかりのバディですが、別部署の先輩方にそう見えているなら何よりです─」穏やかに発した言葉は本心から。事実、引き寄せ体質の自分には殲滅の経験が豊富な貴方と相性が良いと一方的に思っている。続けて獰猛にも、挑戦的にも見える笑みを浮かべると「─苦労自慢は結構ですが、お忙しいなら俺たちに構う余裕はないのでは?それとも、別部署の者と立ち話で談笑することも仕事の内と?大変ですね、お疲れ様です」と、先程の”あくせく走り回っている”という言葉を取り上げて愉快そうな声音で言い。では失礼します、と吐いた言葉の意味を相手が咀嚼し終える前に、横をすり抜けて廊下に出る。背後から何か聞こえた気もしたが、仕事をこなしているのだろうと素知らぬ顔して貴方の元へ合流して)
(/大狼は冷静で理性的であってもことなかれ主義ではないので言い返してみました。毎回律儀に言い返すわけではないですが、噛みつかれてばかりは性に合わないという狼っぽい要素を少しだけ出したかった…!)
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