中華娘 2024-03-28 09:57:33 |
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…なみだ、……。
( ぱち、と彼の言葉に触発されるように瞳を開けばそれと同時に紅玉からぽろりと透明の雫が溢れる。はらはらと花弁のように零れる其れを掌に受ければ、確かに血液のように温かいのにどうやらそれは涙という自分もまだ知らない人間の機能のようで。海のさざ波の音と、それから誰もを包み込む深く優しい海のような彼の声だけが聞こえるこの状況はなにだかとても落ち着いて、先程まで有った胸を締め付けるようなきゅうとした痛みも不思議と自分の中に解けていくような感覚すらする。全て自分だけのもの。この世に自分のものにして許されるものがあることすら知らなかった紅鈴にとってその言葉はまるで赦しのようにも、神様の金言のようにも聞こえる。紅鈴は零れた涙を拭うことなくへにゃり、と花がほころぶように笑っては主人に甘えるように1度彼に擦り寄り。 )
わたし、今、とても嬉し。幸せ。
この温かい気持ち、全部全部わたしの。
初めての、紅鈴だけの大事ヨ。
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