中華娘 2024-03-28 09:57:33 |
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(元気よく鈴を鳴らしながら荷物の準備に飛んでいく従者を見送れば、自分も店先へ。現在の時刻は看板に書かれた営業時間の真っ只中だが、元よりこうして店主の気まぐれによって臨時休業することも珍しくない店だから大して問題はないだろう。看板をひっくり返してから店内に戻ると、間もなく仕事の早い従者が荷物の用意を終えたようで。まだ昼過ぎだから、今出発すれば海辺でのんびりする余裕もあるはず。途中で甘党の彼女が好きなおやつを買って海岸で一緒に食べようか、砂糖の多い菓子は医者が良い顔をしないけれど、まあたまには良いだろう、などと計画を練りつつ、「ああ、出発しよう。日が沈んで冷えるまでには帰ろうね」と微笑み。店舗と自宅を兼ねた一軒家を出ると、がちゃんと鍵をかけ、人でごった返している大通りに出て。ここからはまだ建物の隙間から小さくしか見えない水平線を遠くに眺めつつ、ぽつりと呟き)
……僕も好きだよ、海。どこまでも行けそうな気がする。
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