匿名さん 2024-03-12 23:16:32 |
通報 |
ブルーノ!ご親切にありがとう!
付き人、は…………その、いなくて。えへへ。
( 同じように名前を名乗ってくれた彼ににこ!と人懐こい笑顔を向けたものの、その後に続いた質問にはぎくりと肩を跳ねさせる。そう、普通は決してお貴族様がこんな風に1人で外を出歩いてはいけない。でもアリスは1人だった、家からこっそりと抜け出してきたから。お家が窮屈で、息がしづらくて、でも街の人たちの突き抜けるような笑顔や活気を見るとそれがスっと無くなるような気分になる。やっぱりだめだったのかしら、としょぼり眉を下げたものの、彼が指をさしながら説明をしてくれるこの街は自分が想像していたよりもよほど、暗く冷たい部分があるような場所だったとセレスとブルーの瞳を丸くさせて。 )
─── なにか、できることは無いのかしら。
あんなに痩せ細って、……年頃の女の子なのに。
( 自分の生活とは真逆と言って良いような生活たちに、アリスの心はぎゅうと締め付けられるような感覚を覚えて小さくぽつりと言葉を零す。物乞いで得たたった一つのパンでさえ分け合わなければ生きていけないような食事環境、家も親もない子供もいれば、強い風の日には大きな音を立てそうな家。知識としてスラムのことは認識していたものの、実際にそれを目の当たりにすれば自分になにかできることは無いかなんて、無責任で無意識に自分が与える側だと認識している人間にしかできない言葉が出てしまうのは生まれながらの貴族という立場上のもの。そうして考えを巡らせている間にふとスカートの裾についていた土埃を手で軽く払ってくれた彼の様子にふわりと花が咲くような笑顔を浮かばれば、その彼の汚れたままの手をきゅ、と白く小さな手で握ればふるふると首を振ってにっこりと微笑み。 )
ありがとう、ブルーノ。
勿論よ、触っちゃダメなんて誰も言わないわ!あなたの優しさを無下にする人なんて居るもんですか。
トピック検索 |