serial number153 2024-02-18 15:19:42 |
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ん。──…んん……?
(説明を聞いても血の回りが良くない脳髄が反応しなくて理解に至らず悩ましげな声を上げながら漸く視線が合うくらいには顔を持ち上げる。そこで一旦彼の目の雰囲気などから思い当たるものが記憶から引き摺り出され、しかしそれでも。驚きの方が隠せず小さく口を開けっぱなしにして)
…君は、…なんか、すごい良くできたヒューマノイドなはず。…何で俺のところになんか。
(向けられる笑顔とは対照的に懐疑的な感情と先刻まで自死のモチベーションが高かったために負の感情が乗る。眉を顰めながら握られる低体温の掌はされるがままに、様子を伺うよう視線を注いでいれば、)
──…葵、の。…、…それでも、意味は、…、
(『意味はわからないし必要もない』と続けたかったが目の前に向けられた手紙に息まで詰まり、虚無の眼差しに薄ら熱が籠る。他のナンバリングとは毛色の違うもの、親友が自分に見せたかったと言って何故来ていないのか。全ての情報は余りにも唐突で勝手だし、既に彼が亡くなっているのも知っていた。握らされる手紙を拳の中に収めるよう握り込むと肩を振るわせて、)
…ごめん、…君のお父さんは、此処には居ない。…俺も、…今アイツが居て欲しいと思うけど、…この世の何処にも居ない…
(答えにするには乏しい言葉だが本心から述べると同時に乾いた眼球から急に涙が溢れてきた。そんな水分が何処から生じたか自分でも理解し難いし何を以て悲しいのかも分からず視界が歪み始めて。鼻を啜りながら一度深呼吸をして、次いで小さく首を横に振り)
…用事、はこれだけか。…ありがとう、…君の、…持ち主の元に戻って良いよ。
(自慢の作品を自分の足で見せにくるサプライズなのだろうということは施設から歩いてきたとか、そういうことなのだろうと思い。涙は依然止まることはないが機械にそれを理解するということは可能ではないと判断して大して気にも留めず、促すようになるべく穏やかな調子で声を掛けて)
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