??? 2024-01-30 20:32:30 |
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【〔人間界〕《フィクシオン》〈貴族街の住宅街〉[夏菜子]】
>フィクシオン(貴族街住宅街ALL)
「…はぁ…はぁ…っ」
おぼつかない足取りで昼間でありながら嫌になるような輝きを見せる街並みを、一人の少女が歩いていく。髪色が目立つと感じたのか、一度路地裏に立ち寄って呪文を唱えて髪を黒く染め、そのまま人目を気にしながら路地裏から抜け出し、黙々と歩き続ける。
そういえばあの宿屋のおじさん__グルッペンさんに手紙を出すのを忘れていたが、あそこに立ち寄ることはこれからあまりないことだろうと思ったのかまあ大丈夫だろうと自己完結し、フラフラと不安定に足を進める。
そういえば今日は何も食べていない。昨日もあまり食べれていない…が、きっとそれは悪夢のせいだろう。
あの日からだ。目の前で大切な「誰か」が燃やされている夢を見続けている。
その誰かがわからないが、自分はそれに酷い悲しみと、混乱と、後悔と、苦しみが湧き起こり、そうしていつしか目が覚める。
今日鏡を見た自分の顔には、うっすらと、だが着々と自身が蝕まれていることを示す黒い隈があり、なんと酷い顔をしているんだろうと思ったことはあるが、それでもあの夢が脳裏に焼き付いて離れないのだ。
色々考えているせいか疲れが取れていないのか、辛そうな表情を表しつつも肩で息をしながら黙々と歩き続ける。たった一つの、定められた使命の為に__
そう決意しながら辛抱強く歩き続けており。
(/一部修正して再投稿させていただきます)
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