匿名さん 2024-01-05 19:35:07 |
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真か?!
…では暫くしたら出発しよう。今日買い出しが必要なのじゃ。随行するが良い。それと片付けは任せた。少しやることがあってな
(また料理を作ってくれると聞いて一瞬再び破顔するが、すぐに咳払いしていつもの威厳ある表情──だと本人は勝手に思っている──に戻る。彼女の料理が食べられると思うだけで口角が上がりそうになるが、それよりも前にやるべき事を思い出し、後片付けは任せさっさと本殿へ向かう。朝食の感動で忘れそうだったが、例の冊子を改竄しなければならない。本殿へ入ると彼女が後を付いて来ていないことを確認し、筆を片手に冊子を開く。頁をパラパラとめくっては自分にとって都合の悪い記述を片っ端から黒塗りしていく。ここも。ここも。それからここも。一通り黒塗りを済ませると冊子を閉じて筆を置く。これで良い。満足そうに呟くと立ち上がり彼女の許へ戻ろうとした時、彼女の鞄の近くに置いてあった黒手帳が気になった。枕元にも置いてあったし、大事なものなのだろうか。勝手に触ると顰蹙を買うと思い無視していたが、当の本人は社務所で後片付けをしている。見られて困るようなものを此処に置いておく方が悪い。咎められたらそう言えば良いか、なんて言い訳を考えながら、手帳を手に取り開いてみる──中には何も書かれていなかった。それどころか紙ですらない。四角い鏡のような物体がそこにはあった。内側には何やら模様のある札が納められている。新手の鏡だろうか。何も映ってない画面に反射している自分を見てそう考えたが、ふとボタンがあるのが気になった。何の気なしにボタンを押してみると、いきなり画面が明るくなった。いきなり画面が点くものだからうっかり落としそうになる。映し出されたのは海と浜辺の風景だった。よく目を凝らしてみると人間の後ろ姿も確認できた。綺麗な風景には似つかわしくないフォントで時刻が表示されている。現在の時刻からは大きくズレているため、きっと彼女がここを訪れた時刻のまま止まっているのだろう。携帯電話を知らない訳では無いが、イナリの認識はガラケーで止まっているため、今手に持っている四角い端末が携帯電話だとは夢にも思わなかった。好奇心を掻き立てられ、スマホを持ったまま社務所に戻ると、スマホを彼女の前に突き出しながら口を開く)
こ、これはなんじゃ? 新手の時計か何かか?
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