匿名さん 2024-01-05 19:35:07 |
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(手を合わせて恐る恐る味噌汁から口にする。ごくりと一口飲むと──良かった、いつもと同じ味だわ──と安堵する。が、自分のいつも通りが彼にとって美味しいかどうかは分からないな、とちらりと向かいに座る姿に目をやるが、左右に揺れる尻尾と当然熱弁を繰り広げる彼の姿に呆気に取られ、茶碗を持ったまま固まっていた。
不味くても食べてくれるのは嬉しいが、どうせならば美味しいと思ってもらいたいとそう考えていただけに、予想以上に喜んでくれた姿に此方も嬉しそうに目を細めて、少しばかり照れが混じったように笑う。)
…フフッ、褒め方も大袈裟よ。だけど、良かったわ、喜んで貰えて。
良ければまた作らせて貰えないかしら?買い出しも行きましょう。材料が色々あれば、イナリ様が食べたことのない料理もきっと作れるわ。
( やっとのこと箸を動かして朝食をゆっくり口に運びながら、こんなに喜んで貰えるならまた作りたいと感じる。誰かが自分のした事で喜んでくれるのは久しく無かったが、やはり気持ちが晴れるものだ。もし、彼と共に買い出しへ出掛けても良いのなら、あれを買って、これを買って…と頭の中で次は何を作ろうかと吟味する。その表情はいつにも増して楽しそうに映るが、きっと本人は気が付いていない事だろう。
暫くして此方も朝食を平らげれば、手を合わせて挨拶し、空になった食器を重ねて後片付けをしようと腰を上げた。)
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