匿名さん 2024-01-05 19:35:07 |
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(ふつふつと鍋の水が湯だって来たのを確認すると鍋の中から昆布を取り出そうとする。しかし、その刹那火力がいきなり上がるものだから肩をびくりと跳ねさせつつ、ちらりと彼の方を見る。下らない話で怒らせたのかと思ったがどうやらそういう訳では無さそうで、不思議に思いながら次は鰹の薄身を投入して。
次に準備を終えた魚の切り身を焼き始めながら、彼の仮話に耳を傾けて少しの間考える。魚の皮がぱちぱちと焼けていく音を聞きながら一度手を洗い、置かれていた手拭いで手を拭くとゆっくりと口を開く。)
…どうかしら。
寿命も違えば妖術も使えて、私とは比較にならないぐらい存在価値があるんだもの。…妖と知っていて好意を抱くなんて烏滸がましいのではないかしら。
───でも、想いを胸に秘めるぐらいは、するかもしれないわね。例え許されない事だとしても、口に出さなければ同じでしょう?
( そう言って再度ちらりと相手の顔を見ると小さく笑い、そのまま火元に視線を戻す。
“愛がほしい”と彼に願ったほど、自分が愛に疎く縁がない事はとっくに分かっているし、それ故かそもそも自分が誰かに好意を抱いていいのかも分からない。ただでさえ同じ人間相手にそんなことを考えるのに、妖相手なんて勿論気が引けるのは確かだ。
でも其れは、妖が恐ろしいから、同族じゃないから、という理由ではなく、口から述べたように自分にそんな価値がない、不釣り合いだも思っているからだ。
ただ、不毛な想いだと自分自身よく分かっている分、それをわざわざ曝け出そうなんて思わない訳で、自分の中にその思いを仕舞っておくぐらいは許して欲しいと思う。)
…まぁ、小難しいことは置いといて簡単に言ってしまうのなら、妖だろうと人間だろうと関係はないわね。好きなものは好きよ。
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