匿名さん 2024-01-05 19:35:07 |
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(「好き」という言葉が聞こえると動揺して思わず火の威力を強めてしまう。慌てて火の威力を元に戻しながら、そのニュアンスが恋愛的な含みがないものだと自分に言い聞かせ冷静を装い、彼女の言葉に耳を傾ける。そんな些細なことでリラックスしたのか──喉まで出かかった言葉を飲み込む。彼女の表情もしっかり見ていなかったが、恐らく此処に初めて来た時のような疲れきった表情をしていたのだろう。そんな些細なことでも彼女の癒しになったのだとしたら正直悪くない気分だ。それに自分もあの時ばかりは大いに助けられたから。あの後は神社に帰るなりいつも以上に変化術で体力を使ったので死んだように眠ったのだ。あともう少し変化している時間が長かったらきっと途中で解けてしまっていただろう)
仮にじゃ。その者が…人間では無い存在だとする。我のように人間社会に溶け込んでいる妖じゃ。
…だとしてもお主は『なんだか好き』だと言えるのか?
(なぜこんな質問をしたのか自分でも分からない。ただイナリの中に彼女に対して心境の変化があった。この変化の末に抱いた感情をなんと言うのかイナリは知らない。二年越しの恩人である彼女にこんな質問をするのもどうかと思ったが何故か質問しなければならない義務感のようなものがあった。ピンと立っている耳はいつも以上にピクピクと小さく動き、彼女からの答えを欲している。そうやって待っている間にもイナリは釜に視線をやっていて、彼女の方を向こうともしない)
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