匿名さん 2024-01-05 19:35:07 |
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資料などは一切合切残した。好きに読むと良い。いくらか使えそうな物も残した。それも好きに使え。
(資料や捨てずに残した物は社務所の隅に置いてある。そこを指差しながら好きにしろと伝える。とは言ったものの、資料の中でも自分の日記などはあまり目を通さないで欲しいものだが。それでも歴史的な記述も存在するのできっと興味は惹かれるだろうと思い、やむなく残したのだが。
料理用の壺を覗いている彼女を後ろから眺めながら、この女子は何を作ってくれるのかと密かに期待する。自分で作った料理などは飽きてしまっていたので、他人が──しかも現代を生きる人間が──作るものは一体どんなものなのかと興味があった。イナリは現代人の食事情には全く疎かった。以前人里に降りた際に「ふぁーすとふーど」と呼ばれるものがあったことは記憶しているが、それが何なのかはいまいち分からなかった)
いや、供物は終戦の時を最後に一切されておらん。魚は我がこの辺りの川で捕った。香草は山に自生しておる。野菜や米だけは街まで行って買っているがの。
(以前は野菜すら自給自足していたのだが、最近は天候も不安定で、この辺りで作物を育てるのは──しかもイナリは現代的な方法を知らないので尚更──困難だった。そこで野菜や米などは街に繰り出して手に入れることにした。だがイナリが街に行く度に人間社会は急激に変化している。まるで此方が化かされているのでは無いかと疑う位に、文明の発達は恐ろしく早い。以前図書館で読んだ本には「ぐろーばる化」という術を用いて文明の発達が進んだと書いてあった。いつか街でその術を体得しなくては。イナリは街に出る度にビクビクしながらもそんなことを考えているのだった)
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