匿名さん 2024-01-05 19:35:07 |
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(彼女からの物申しを聞くと眉間に皺を寄せる。そして心の中で『いきなり頭を撫でて照れるななどと無理を申すな』と抗議する。自分は彼女に掛けているのは哀れみであって思いやりではないし、第一彼女のような人間に撫でられれば照れない者などいないだろう──そこまで考えてハッとした。我は何を言ってるのだ──自分の思考にまで入り込んでくるとはどこまで不敬なやつだ、と彼女に八つ当たりする。彼女が粥を完食すると茶碗と箸を下げ、薬を飲ませなくてはと立ち上がる。薬包紙の上に薬研の中の薬を移しながら彼女からの質問に答える)
疲れないと言ったら嘘になる。じゃが完全な変化ではない故、大した労力では無い。
…一番疲れるのはな、既に存在している誰かに化けることじゃ。ほれ、このようにな。
(薬と水の入った湯呑みを彼女に手渡すと、彼女の眼前で自身の顔を彼女の顔に変化させる。変化はイナリの得意中の得意な術だ。通常の人間体のようにオリジナルが存在しない姿に化けるのは簡単だ。自分で自由に作れば良いのだから。だがオリジナルが存在する人間に化けるのは難しい。細部まで再現しなければならないから。だから体力の消耗も激しくなる。
彼女の顔に変身すると憂いを帯びた表情を作って見せながら「あなたにそっくりだと思わない? 日向静蘭さん」と彼女と同じ声で言ってみせる)
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