匿名さん 2024-01-05 19:35:07 |
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……お、お主は不敬な上に痴れ者じゃな!これは優しさではなく、強者が弱者に与える憐憫じゃ!
(一口食べてくれた相手に安堵したも束の間、彼女の手が自分の頭に載せられたかと思うと、そのまま左右に動かされる。優しげな表情と共に褒められると一瞬だけ顔の変化が解けて。すぐに元に戻すと今日だけで何度したか分からない抗議をする。イナリはこのように褒められたことがなかった。人間たちはイナリを神にも等しい存在だと錯覚し殊更に有難がった。願いが叶えば一様に平伏し、叶えなくても平伏する。気分は良かったが正直窮屈でもあった。それでもそんな扱いが慣れていたので「気にするな」とか「造作もないことよ」とか定型文が用意できた。しかしまるで母親に褒められる子供のように扱われるとどうしたら良いか分からなくなる。ふと左右に動こうとする尻尾に気付くと片手で必死に押さえる。何故動く。斯様な言葉は侮辱以外の何ものでもないぞ! 自分に言い聞かせて何とか尻尾を押さえると「馬鹿なことを申さずにさっさと食わんか!」と再び箸を彼女の口の前に持って行く。
日向静蘭め。覚えておれ。必ずお主にも恥をかかせてやる。子供じみた対抗心をメラメラと燃やしながら、彼女に粥を与え続けた。)
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