匿名さん 2024-01-05 19:35:07 |
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( ひょいと視界に入ってきた彼の顔に安堵しながらゆっくりと息を吐く。未だ頭はぼんやりとしているが、お粥と聞けば何だかお腹が空いて来たような気がして、手を貸されるがままに上半身を起こし、「ありがとう」と小さく礼を伝える。そういえば、朝から何も食べていないことを思い出すと、差し出された茶碗と箸を受け取ろうとするが、一度引っ込められて首を傾げる。
大人しく待っていると、彼が粥を口の前まで持ってきてくれるものだからその状況に少しばかり困惑しつつも、それを拒む理由も特にないため、彼に甘えて口を開け粥を迎えいれることにした。体調の悪い自分の為に用意してくれたのだと思うと、素朴ながらも優しい味の粥も相まって、胸の奥が温かくなるのを感じる。思えば、学生の頃から両親は忙しい人だったし一人暮らしも長いため、誰かが作ってくれた温かいご飯を食べるのは久しい事だった。
彼は口先ではつれない事ばかり言うが、十分過ぎるぐらい気を遣ってくれているのが分かる。柔らかな粥をゆっくりと飲み込むと、目の前にいる彼の頭に─ちゃんと耳には触れないようにしつつ─ぽんぽん、と触れるとそのまま手を左右に動かして、口元で優しげに弧を描く。)
…とっても美味しいわ。貴方はとても優しいのね。
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