匿名さん 2024-01-05 19:35:07 |
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(─思い返せば昔から不器用だった。不器用と云うのも手先の器用さや効率云々の話ではなく、人付き合いや信頼関係の構築に携わる話だ。勉強は人よりできたし、運動もそこそこ、無口な訳でもなく自分なりに普通に過ごしてきたのだが、自分が不器用だと自覚したのは中学に進学したあたりの頃。なんとなく人との距離を感じるようになり、友人だと思っていた人々がコソコソと陰口を言っているのを聞いてしまった。自分の何がいけないのか必死に考えたし、直そうともした。それでも上手くはいかず、自らも距離を置くようになった。男子からは好奇の目でみられ揶揄われるし、女子からは敵視された。
いつからか開き直るようになったが、変なところで意地を張る癖がついてしまい、重要なところでだけあまり素直になれずにいる。“愛”が欲しいと言えたはいいが、本当はどんな“愛”を心から望んでいるのか、それは、決して口には出せないだろう。
再度眠りについて約1時間ほど経っただろうか。自身の熱で目が覚めてしまうが、今度は飛び起きることもせず、静かに瞼を開いた。まだ意識がはっきりとしていないのかぼんやりと天井を見つめながら、彼は何処かにいってしまっただろうか、と小さな声で名を呼んでみる。)
…イナリ、様。
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