匿名さん 2024-01-05 19:35:07 |
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(此方からの発言を受け、顔を赤くしながらどたどたと本殿から出ていってしまう彼の後ろ姿をぼんやりと見つめると、ふふ、と口元に手を添えて笑った。耳や尻尾は動物にとってとても過敏で繊細な所だと知ってはいたが、やはり触れるのは駄目だったらしい。)
……セクシャル ハラスメントなんて、一体何処で覚えたのかしら。
(そんなことを呟いてまた小さくクスクスと笑うと、柔らかそうな毛並みに触れて見たかったのになぁ、なんて内心残念そうにする。またごろりと横を向いて寝る体勢になると、行く場を失った手で布団の端をぎゅうと握り、ゆっくりと目を閉じた。
こうして横になるとしんどさはマシになるが、この静かな時間は様々な雑念が脳内を駆け巡るのであまり好きではなかった。熱に侵されているからといって特別悲観的になる訳でもないが、自分が社会に出て何の役に立てたのだろうか、なんて下らない事ばかりが頭に浮かぶ。
それに、彼は私を封じたと言っていたけれど、本当に此処から出さないつもりなのだろうか。今でこそ、目の前にいる彼は自分とああやって会話をして様々な表情を見せてはくれるが、いつか、本当につまらない奴だと見切りられてしまったら。その時は、一体どうしたら良いのだろう。
瞑った瞼の隙間から一筋の粒が落ちてくると、小さく鼻を啜りながらそれを拭い。針を刺されるような痛みを心の奥底に感じながら、またも気付かないふりをして眠りについた。)
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