匿名さん 2024-01-05 19:35:07 |
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…ああ。成程。"シボウに落ちる"とは望みの進路に進めなくなってしまえ、という意味じゃったか。
(彼女の最初の願いの意味に得心がいくと大きく首を縦に振る。イナリの好きな類の願いでは無いが彼女がそう願ってしまうのも無理もない。人間は弱いから仕方がない。願うだけなら、命を尊重しているのならば咎める必要は無い。それよりも気掛かりなのは彼女の体調だった。先程から収まらない汗といい、眉間の皺といい、彼女の身体に異変が起きているのは確かだ。筆を置いて彼女の方に向き直る)
労働によって心身を削るは愚か者のすることじゃ。そういう意味ではお主は特大の愚か者。今日はもう休め。如何なる時代も不養生で人間は簡単に没する故な。
(イナリの脳裏にはこれまで出会い、そして死んでいった人間達の記憶が悉に浮かんでいた。彼女のことは何とも思っていないが──勝手にイナリはそう思い込むことにした──自分の手元に居る人間が身体を壊して死んだとしたら、些かイナリの寝覚めが悪くなる。イナリは超人的な力を持ってはいるが、病を完治させることはできない。もっと上級な妖に成りたいと願ったことは何度もあったが、どうやら今の立場がイナリの天命らしく願いが叶うことはなかった。彼女には安静に過ごして貰わなければ。イナリは目の前で人間に死なれるのが何よりも嫌いだから)
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