匿名さん 2024-01-05 19:35:07 |
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(一頻り飴を楽しむと残りの2つは残しておく。別に何か特別な理由がある訳でもないが、ただ何となくこんなに美味な飴玉を一人で楽しんでしまうのは勿体ないように思われた。チラと彼女の方を見遣ると、既に眠りに就いていた。黙って寝ていれば存外良い女子では無いか──一瞬そんなことを思ったがぶるぶると首を横に振り、邪な考えを振り払う。ふと鞄の傍に置かれていた丸めた書類が目に留まった。彼女が訴えと共に潰した書類だった。ポーチを取り出す時に置いてからしまい忘れたのか。木箱の中にポーチを仕舞うついでに書類を拾う。破かないように手で丁寧に広げてから、そこに書かれた文字を読む。正直言っていわゆる旧字体しか馴染みがないイナリにとっては、新字体の複雑怪奇な現代機械で作られた文書などは読み辛くて仕方がなかったが、好奇心が先行し何とか解読を試みる。どうやらそれは人間一人一人の記録と、授業の構成表らしかった。それを読んでいくと、彼女が学問を教える者であること、彼女は高等学校で学問を教えている。そしてここに書かれている者は彼女の誠意を仇で返した者達ということが分かった。なぜ生徒たちの名を見て不愉快になっているかは当のイナリにも分かりかねた。書類を丁寧に折って懐に仕舞うと、腹立たしい気持ちを抑える為に随筆でも作って心を落ち着かせようとする。和紙と筆、台を用意し彼女が目覚めるまで筆を走らせる)
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