匿名さん 2024-01-05 19:35:07 |
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…我はお主とは違う。一緒にするでない。不敬じゃ
(イナリが張った虚勢はいとも簡単に見破られてしまった。ただ不思議と激しい嫌悪感はなく、掛けられた言葉も抉られるような鋭利さは伴っていなかった。それでも多少の不快感は抱いたため──一緒にされたことではなく、主に意地っ張りだと言われたことに対してだが──眉間に皺を寄せながら答える。思えば彼女とイナリは何処か不思議な存在だ。正直な彼女に嘘つきなイナリ。愛されたことがない彼女に愛したことがないイナリ。そうやって全て対になっているかと思えば、このような共通点が出てくる。そんなことを考えていると彼女が急に本殿から出て行った。そしてすぐに鞄を取りに戻ってきた。鞄の中からまた小さな鞄を取り出し、何かを口にした。服毒か──なんて腰を浮かし掛けたが、直後にいちご味だと告げられてはそれが飴玉だったことが分かる)
…飴玉か。我は童では無いが…まぁ良い。
(差し出された飴玉を受け取ると興味深そうに観察し口中へ放り込む。二、三回舌で転がしてみる。口中にいちごの味が広がり優しく甘い香りがする。「美味い…!」と無意識に呟くと、目を輝かせると同時に耳がピンと立った。昭和の時代に人間が置いていったドロップ以来の甘味。現代の飴はこんなにも甘いのかと感嘆する。気が付けばイナリはまるで犬のように九つの尻尾を振りながら口中の飴の味を楽しんでいた)
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