匿名さん 2024-01-05 19:35:07 |
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(人間の願いを概ね叶えられると言った彼は確かに神では無くとも、此方からは想像もつかないほど高貴な力を持っているのは確かなようで。しかし、その話を聞いても尚、表情を変えることはなく、先程無邪気に笑っていたのは幻覚ではないだろうかと思えるほどだ。
──強大な力には多少憧れこそあれど、人間たちの身勝手な願いを叶えようとすれば、それこそ想像もつかないほど難儀なものだろう。丁度そんな事を考えていると、次いで自分自身の願いを聞かれ視線を逸らす。雨の中、やけくそに願った願い事も聞かれていたようだったが、そのことに関しては後程きちんと説明することにして……今、自分が本当に願うものは、何だろうか。)
───“愛”が、ほしい。
……、きっと、私には1番、無縁なものだから。
(少しの沈黙の後、囁くように出たのはこの言葉で。だが、言い終わると毎度のように呆れた笑いもついでに溢れる。
想い人がほしい、想い人と両思いになりたい、そんな在り来りな愛の要求ではなく、ただ、純粋に、ほんの少しでいいから、優しく抱きしめて欲しい。
こんな願い、他者からすれば小さな要求だし、それならば前者のように想い人について願った方が叶え甲斐もあるだろう。
それでも、建前だらけの自分にとって心から望みたいものといえばこれしか無かった。)
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