匿名さん 2024-01-05 19:35:07 |
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『……やあやあやあ。俺の姿が見えるんだ。今どきの人間にしては珍しいね』
(露天風呂へ行くとそこには見知らぬ女がいた。イナリと最後に会ったのは昭和が終わる頃だが、その時は斯様な女はいなかった。すると肝試しか何かに来ている女だろうか。いずれにしてもコイツは背を向けている。その無防備な背中に飛び付いて驚かせてやろうか、なんて思っていると何とその女はこちらを振り返り、自分の存在を認めたでは無いか。しかもさして驚く様子もない。フウリは一般的なタヌキより二倍も三倍も大きな図体をしているし、顔付きだって狸というより狼のように凶暴で、しかも理知的──これはフウリが自称しているだけだが──で一目で他の狸とは違うと分かるはずなのに。これは久方ぶりに弄べそうな人間だ。一瞬ニヤリと笑うと、すくっと立ち上がり優しい声色で話し掛ける。口調も現代人に親しみ易いように砕けさせて。まずは甘く優しく。そして後に圧を掛けながら支配的に。それがフウリが人間で遊ぶ時の遊び方だった)
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