匿名さん 2024-01-05 19:35:07 |
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男じゃと…?珍しいこともあるものじゃな。
…妖や怪異の類でなくて良かったのう
(この辺りは以前は参拝目的でそれなりの人間が来ていたが、今となっては肝試しとかそういう目的で来る人間が稀にいるくらいだった。自分と同じ妖怪や怪異の気配はしなかったので、そういう人間に違いない。兎も角正体が分かると途端に脳に冷静さが蘇る。そこでやっと気付いた。自分は今入浴中の彼女と相対している。相手はタオル一枚しか纏っていない。それを意識した途端、自分の不埒さに再び冷静さを欠きそうになる。腰を上げてすぐにでも退散したかったが、目敏い彼女が足に触れながら着物について言及すると、平静を装いながら口を開く)
…我の風呂場で逝かれても困るし…他の妖に喰われても面白くない。念の為に走ってきただけじゃ。別にお主を案じての行動では無い。我の風呂を案じてじゃ。
…新しい着物を出さねばな。
(少しバツが悪そうに汚れた部分を手で払いながら早口でまくし立てる。黙っていれば良いのに下手に誤魔化そうしたり、要らない言葉で飾ったりするのがイナリの悪癖だった。妖術で着物の汚れなんて簡単に落とせるが、彼女の為に付けた汚れを落としてしまってはいけないような気がした。着物の乱れを整えながらスクッと立ち上がると、くるりと背を向ける)
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