匿名さん 2024-01-05 19:35:07 |
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……!
どうした!何事じゃっ!?
(大方毛繕いが終わり、人の姿に戻った時だった。露天風呂の方からバシャンと大きな音が聞こえてきた。一瞬ピクリと耳が反応し動きが止まるも、顔から血の気が引く感覚と共に一目散に風呂場へ向かった。明らかに尋常ならざる事態が起きたと思った。まさか気を失って湯に沈んだか、誰かに襲われて湯に沈められたか、はたまた別の問題が起きたか。頭の中で瞬時に最悪の事態の予想が次々と出てくる。イナリは身なりに殊更気を遣っていた。他の妖から奇異な目で見られる程に。そのイナリが着物が汚れるのも乱れるのも気にせずに必死で走っていた。頼む、何事もなくあれ。力強く祈ると同時に露天風呂へ辿り着いた。着くや否や声を張って彼女の無事を確かめる。
無音だった。争う声も聞こえない。他の存在の気配も感じない。そして当の本人は湯の中にいる。溺れているわけでも気を失っているわけでもなかった。湯に浮かぶタオルをじっと捉えながら、イナリは自分の行動が取り越し苦労であることを知った。途端に張り詰めていた緊張の糸がどっと解けてしまい、その場に座り込んでしまう。仮にも入浴中の女子が目の前にいるのにも関わらず。はぁと大きく息を吐くと暫くしてから口を開く)
…あまり我を驚かせるな。寿命が縮む。何故、風呂に落ちたのだ
(/ お待ちしておりました!)
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