匿名さん 2024-01-05 19:35:07 |
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(彼女が呟いた一言を聞き漏らさず拾ってしまうとゆっくりと首を動かして彼女を見つめる。口には出さないが目で非難の色を浮かべるも、すぐに目を逸らす。彼女のこういう一言は今に始まったことでは無いので、ここは年上の自分が我慢するかと無理やり自分を納得させる)
勿論じゃ。とくと楽しみが良い。
……我は本殿に戻っている故、何かあったら──まあ何も無いとは思うが──呼ぶと良い
("良いかしら?"なんて律儀に尋ねる彼女にクスリと笑うと頷く。背を向けて去る際に、念の為に伝えておく。一帯はイナリの結界のおかげで物怪の類は入って来れないが、万が一ということもある。イナリのお気に入りの場所で何かあったら縁起が悪い、なんて表向きは思っているが、実際のところは彼女が危険に晒されるのが怖いのだ。彼女も人間である以上、脆い存在だろうから。
本殿へ戻ると彼女が持ってきてくれたのか社務所に置いてきた筈の飴玉に目がいく。苺が好きだが、折角なので他の味を試してみることにする。りんご味の飴玉を口に放り込むと、やはり口中に広がる甘味に目を輝かせる。舌で飴を転がしながら、繧繝縁に腰を下ろすと変化を解いて本来の姿に戻る。先程の発言を気にしてか、くしくしと毛繕いを丹念にする。人間の姿の何が気に入らないのだ、なんてぶつぶつ呟きながら前足を巧みに使って毛を丁寧に繕っていく)
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