匿名さん 2024-01-05 19:35:07 |
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(相手の人間の返事を受け、イナリは人間をまじまじと見つめた。如何に妖の存在が偽りとされたとて、如何に現代の人間が精神を擦り減らしているとて、イナリを見た人間は例外なく怯えるか逃げ出すかをすると言うのに。そしてそんな姿を見ながら二波三波と人間を驚かすのが、ここに人間が足を踏み入れた時のお約束だったのに。だのになんだこの女子は──イナリは表情には出さなかったが大いに不愉快だった。此方の存在を認めた上で、表情も変えずしゃがみ込んで平然と言葉を返してきた。人間ならば人間らしく驚いて我に怯えよ! 我は退屈しておるのじゃ! そう文句の一つでも言ってやろうと口を開いた時、聞き捨てならない言葉が入った)
……女子よ。ここは"生"の象徴たる社ぞ。我の前で死を連想させることを申すな。誠に不愉快じゃ。
(再び耳と尻尾を残して人間体へと変化すると、人間を見下ろしながら低い声で告げる。凄んでいるつもりは無いが、無意識的にイナリは彼女を睨め付けていた)
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