匿名さん 2024-01-05 19:35:07 |
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…ん。
(夢を見ていた。もう百年以上前の日常の夢。神社に人間が訪れてはイナリに供物と共に祈りを捧げる。彼らの供物を受け取りながらくだらない問答に時を費やし、日暮れには娶ったばかりの妻と晩酌をする。イナリは楽しかったが彼らはどうだったのだろうか。「人間様の気持ちなんてお前には分からないよ」いつの日か酒を煽りながら妻が言った。並大抵の女子よりも肝っ玉が据わっていたあの妻が寂しそうに。その言葉はイナリの心を傷付けたが忘れたフリをしていた。そんなことを夢で思い出してしまったからだろうか。彼女の言葉で一瞬起きるが、すぐに眠気が襲ってくる。僅かに感じていた寂しさを紛らわせたくて、彼女の手から感じた温もりを感じたくて、一瞬だけ頭を上げたかと思うと、それを縋るように彼女の身体に預けて再び眠ってしまう。自分の体温で眠っていた時と違って、こちらの方が心地よかった。暫くはどんどん深くなる眠気に支配されていたが、やがてなんの前触れもなくパッと眠気が無くなると、目をパチッと開ける)
ん…? 何しておる…?
…ああ。一刻経ったのじゃな
…お主、十分"おしゃれ"では無いか
(目が覚めると、彼女に自ら縋っていたことなど覚えていないのか怪訝な表情をしながらも、ゆるゆると身体を起こす。眠っている間に体力は幾分か回復したようなので、再び耳と尻尾だけを残して人間に変化する。ふと眠る前と彼女の衣服が違うことに気付くと、慣れないお洒落という言葉を使って感想を述べる。尤もお洒落という状態がどのような状態を指すのかはイマイチ分からなかったが、彼女の服が似合っているのは事実なのできっとこれはお洒落なのだろうと判断した)
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