匿名さん 2024-01-05 19:35:07 |
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(彼女が選び終わると速やかに手に取って逃げるようにレジへ向かう。実際にはさして時間も取られていなかったのだろうが、こういう時に限って時間が永遠に感じられる。現代の女子は難儀だと思った。昔だったら湯文字一つで事足りたものを、今では一々このようなものを付けなければならないのだから。レジで会計をする際に案の定店員から怪訝な目を向けられた。なんだか良くないレッテルを貼られた気がしたから「妻のお使いというのも大変でございますな」と聞かれてもないのに愛想笑いをしながら言う。すると不自然な日本語のせいで更に怪訝な目を向けられる。気まずそうに咳払いをして店員から視線を逸らした時、袖を握られた。黙っていろという合図なのかと思ったがどうも違うようだ。彼女の方に視線を遣ると、いつもとは違う表情にドキッとした。笑った顔、泣いた顔、驚いた顔。色々な表情を今日まで見てきたが、まさかこんな表情をするとは思わなかった。可愛い──普段とのギャップに心奪われれば、そんなことを思っていた。人間の女子を可愛いと思ったことなんて一度もなかった。彼女はこんな風に恥じらうのか。この表情を見ているのは自分だけ。そんなことを思うと妙な高揚感と胸の高鳴りで頭がパンクしそうだった。ハッと我に返るととっくに袋詰めは終わっていたので、金銭を出して、袋片手に服屋から足早に出ていく)
…わ、我の方が恥ずかしかったぞ。会計の際に恥をかいたでは無いか。
お主は…気にすることないでは無いか。衆人環視に見られる訳じゃなし。我にしか関知できぬのじゃから
(服屋を後にすると恥じらっている彼女に抗議をする。大半は自業自得なのだが、奇異な目で見られることに耐えられなかったのだから仕方がないという論理らしい。皆に見られる訳では無いのだから案ずるなとフォローにもなっていないフォローを入れると「他に用はあるか…?」と首を傾げる)
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