匿名さん 2024-01-05 19:35:07 |
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(尚も降り続き耳を劈く雨音の中、ふと、背後から声が聞こえたような気がして振り返る。
─すると、そこにいたのは、狐。しかもただの狐では無いようで大きな九尾を揺らしている。その姿は正しく伝承通りで、背後にある神社と相俟って異世界に迷い込んだかのような錯覚に陥る。
それでも表情に動揺が映るわけでもなく、暫く九尾を見つめると、ゆっくりとしゃがみこんでぽつりぽつりと言葉を返す。)
…仕事に行くのよ。雨だからって休んでられない。本当は行きたくない気持ちも山々なのだけど…、真面目な自分が憎らしいわ。
こんなにびしょ濡れで、また揶揄われるに決まっているのに。
(夢か幻覚と思っているのか、目を伏せたまま目の前の九尾へと本音を呟き終えると、「このまま、雨と一緒に消えたらどうなるのかしらね」と小さく笑ってみせる。)
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