匿名さん 2024-01-05 19:35:07 |
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( どうやら疲労の具合は大丈夫なようで、高らかな彼の返事を聞けば安心したように頷く。しかし、荷物を置いてくると告げ早々に彼の姿が目の前から無くなってしまっては一瞬動揺を。妖術とは改めて便利なものだと感心するのと同時に、目の前を過ぎ行く人々の姿を視線で追いながらただそこに佇んでいた。
最初はまるで幽霊のようだと、魂を封じられたこの状況に戸惑いこそしたが、誰の目にも留まらないのは以前と同じでは無いかと冷静に考えれば、その戸惑いもゆっくりと落ち着いてきた。それでも心細さは薄まることなく、両腕を自分の手で擦りながら彼の帰りを待っていた。
──ふと、通り過ぎた男性の後ろ姿が昔の友人に重なった気がして背筋が伸びる。スマホのあの写真、あの中にいた一人。本人では無いのだろうが懐かしむようにその背を暫く眺めていた。
すると、戻ってきたのであろう突然現れた彼によって、追っていたあの姿は見えなくなってしまった。少し名残惜しさはあったものの、彼が戻ってきてくれた事に安堵のため息をつきつつ、その言葉には首を横に振った。)
そんなに待ってないわ。…それにしても便利ね、一瞬で荷物を置きに戻れるなんて。
(そんな事を言って小さく笑ってみせると、早速店の方向を指さし再度歩き始める。洋服を買うと言っても実際に買ってくれるのは自分ではなく彼なので、比較的店内も落ち着いていて、静かに商品を選べる店へ向かうようだ。)
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