匿名さん 2024-01-05 19:35:07 |
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……そう、よね。ごめんなさい。気にしないで。
(無事に精算を終えた彼が一瞬、止まるのが見えた。しかし、返ってきたのは肯定の言葉ではなく、とぼける様な、取り繕われたような言葉だった。心当たりはあるのかも、いやでも、本当に違う人だったのかも。そんなことを頭の中でグルグルと考えるが、何方にせよ、過去の事を暴いたところでこの状況が変わるわけでもあるまいし…それでも少し残念なような複雑な心境を抱えながら、静かに視線を動かすと小さく呟いた。
それよりも、店員に袋を要求していたぎこちない姿が不意に脳内再生され、思わず吹き出してしまう。
荷物の入った袋を持つことも出来ず、申し訳なさを積もらせながらもなんとかスーパーでの役目を終え外へ。
店から出てしまえば人混みも大分落ち着き、ゆっくりと彼の腕から自身の手を離した。まだ境内に戻った訳では無いが、街中もこれから向かう洋服屋もスーパー内ほど混んでは居ないだろうし、腕を組まずとも隣にいれば大丈夫だろうと勝手に判断した。
…というのは建前で、彼の温もりに安心していたのは自分の方だった。本音を言えば離したくはないのだが、自分はとことん甘え下手だと思う。いつまでも彼にくっついて、ひ弱で無力だと言われるのが嫌なのだ。それに、今まで誰にも甘えずに自分を律して──強がって生きてきた自分には、この“甘え”が普通になることを恐れていた。其れが普通になってしまっては、自分が本当に弱くなったように感じるから。)
…イナリ様、結構人が多かったし、疲れてないかしら?
洋服はまた今度でも良いけれど…。
( 自分の本意には目を向けず、彼の隣に立ったまま。服も欲しいとは言ったが、そういえば彼は疲れていないだろうかと上記を述べた。久しぶりに人混みを見ると人酔いすることもあるし、服屋はいつでも来れる距離でもある。)
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